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- 所内教育紹介(暗号)
「行政書士法人で暗号の所内教育?」と驚かれるかも知れません。 弊所のクライアント・顧問先企業様の中には、IT関係の企業・団体の方も多くいらっしゃいます。特に通信衛星事業者、通信キャリア、携帯電話回線事業者、ネットワーク機器ベンダー、無線機メーカー、通信機器専門商社等の方は、暗号機能が搭載された通信機を取り扱われています。 ですが、暗号とは輸出規制がうるさくて有名な分野で、日本では外為法、米国ではEARなどの対応が必要となります。 (Wikipediaにも、「アメリカ合衆国からの暗号の輸出規制」という独立したページがわざわざあるほどです) しかし、暗号機能に関する外為法の許認可申請を行うには、一般的な法令の知識だけでなく、暗号関係の知識が必要です。 例えば、ソフトウェアで暗号ライブラリを呼び出したり、基板に暗号ICをのせる場合に、暗号関係の許認可申請の要否をまず判断するところからはじまりますが、暗号関係の知識がないと対応が難しくなります。また、AESなどの商業用暗号標準なのか?鍵長は?暗号化方式はRSA?それとも離散対数?など、暗号の基礎知識がないと詳細のヒヤリングもままなりません。 特に、典型的な標準暗号ならまだしも、弊所の関与先には量子暗号や格子暗号といった、特殊な暗号の研究開発をしている企業・団体がいらっしゃるため、暗号の勉強は弊所職員にとっては必須となっています。 本記事では、暗号に関する弊所の所内教育をご紹介致します。 ①所内での座学 弊所では、暗号関係の技術系教育と法律系教育を職員向けに実施しています。 技術系教育科目の一例:『暗号理論』『無線工学』等 法律系教育科目の一例:『外為法(暗号関係)』『電波法』『電気通信事業法』等 座学では、理工系やIT系の大学・大学院で使用される暗号理論、情報セキュリティ系の教材など、様々なものを使います。 外為法及び輸出令・外為令・貨物等省令では、ElGamal暗号や楕円曲線暗号など、様々な暗号について輸出規制の対象であるか検討する必要があります。これらを体系的に理解するために、座学教育が必要となっています。 所内教育で使用する教材の一部 ② 見学・実習 座学で暗号の基礎的な知識を得たら、次は見学・実習を通して、実際のところを学んでいきます。 弊所ではNICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)や一般社団法人量子フォーラム 量子鍵配送技術推進委員会(量子暗号に関する産学官連携団体)、陸上自衛隊 システム通信・サイバー学校等を外部研修として訪問し、研究者・実務者の方から直接お話をお伺いしています。 例えばNICTでは、サイバーセキュリティ研究所の先生から、CRYPTREC電子政府推奨暗号リストにはじめて耐量子計算機暗号(PQC)として公開鍵暗号方式のML-KEMが2026年に追加された話など、最先端の暗号事情をお伺いすることができました。 NICTのサイバーセキュリティ研究所と弊所職員3名。建物の外観が小さくした総理官邸のよう。 所内教育受講者の感想 職員A:小学生のときに勉強して以来の素因数分解にこんなところで出くわすとは思いませんでした。「493は何かける何?」と聞かれても29✕17と即答できないように、人間なら493という3桁でも素因数分解は難しいところ、100桁を超えるような数字を素因数分解するというのはそれは確かに、コンピュータでも難しいのだろうなと実感できました。 職員B:RSAにしても離散対数にしても、数学的な原理がよくわかったので暗号品目の該非判定などの仕事に役立つと思いました。例えば2の12乗が4096だというのは電卓を地道に叩けば計算できますが、逆に4096は何の何乗?と聞かれるとすぐ答えられない、こういう計算の難しさの非対称性を利用しているところに暗号理論の面白さを感じました。 職員C:アリスとボブという名前が可愛くて好きです。
- 量子フォーラムとの顧問契約を締結
2026年6月1日より、弊所は(社)量子フォーラム 量子鍵配送技術推進委員会との間で顧問契約を締結しました。 (国研)情報通信研究機構 量子セキュリティ・協創棟 (社)量子フォーラムは、量子技術の健全な発展を支援することを目的とした産学官連携団体であり、国立研究開発法人、研究大学等が連携しています。 中でも量子鍵配送技術推進委員会は、QKD(量子鍵配送)の普及と発展に向けて、技術文書の発刊や研究開発ロードマップの提言、標準化・事業化支援などの活動を行っています。 弊所は、我が国における量子通信の社会実装の支援は、重要な社会貢献であると捉えております。本件顧問契約の締結については、量子鍵配送技術推進委員長の佐々木先生よりお声がけを頂き、弊所としてその社会的意義の大きさから、喜んで長期的に協力させて頂くこととなった次第です。 量子鍵配送とは? 量子鍵配送技術とは、通信の安全性を高めるための先端技術の一つです。 私たちが日々利用しているインターネット通信やデータ通信では、情報を守るために数学を利用した各種の暗号技術が使われています。 もっとも、どれほど優れた暗号方式であっても、「鍵」が盗まれたり、第三者に知られたりしてしまえば、安全性は保てません。「鍵」とは、通信内容を暗号化したり、暗号化された情報を元に戻したりするために使う秘密のデータです。家の鍵がなければ扉を開けられないのと同じように、暗号の世界でも、正しい鍵を持っている人だけが情報を読めるようにします。 例えば、「おはよう」という言葉を「五十音順で一文字ずつ後にずらす」という単純な手順で暗号化すると、「かひらえ」となります。普通の人は「かひらえ」という文字列を読んでも何のことかわかりませんが、「五十音順に後に一文字ずらす」というルールを知っていれば、元の「おはよう」という文字列を解読できます。 この例では「五十音順にずらす」というルールが「暗号化方式」で、今回ずらす方向と量は「後に一文字」という情報が「鍵」です。 そのため、通信を行う相手との間で、秘密の「鍵」をどのように安全に共有するかは、暗号技術における重要な課題です。 量子鍵配送技術とは、このような秘密の「鍵」を、量子の性質を利用して安全に共有するための技術です。量子鍵配送では、光の粒が持つ量子としての性質を利用して、離れた相手との間で安全に鍵を共有しますが、量子の世界では、第三者が途中で情報を盗み見ようとすると、その痕跡が残りやすいという特徴があります。そのため、通信の途中で鍵が盗み見られていないかを確認しながら、安全な鍵を共有することができます。 将来的には、安全保障、防衛、金融、重要インフラなど、高度な情報保護が求められる分野での活用が期待されており、既に医療や行政サービスなどの分野での試験が行われています。量子通信は、単なる先進的な研究テーマの一つにとどまらず、社会の安全を支える基盤技術として注目されています。 なぜ行政書士法人が関与するのか 先端技術を社会に実装していく際には、研究開発や事業化だけでなく、法制度や許認可への対応も重要になります。 特に、量子暗号技術やQKD(量子鍵配送)装置のような、安全保障と関係する貨物や技術については外国為替及び外国貿易法(外為法)の規制対象とされており、海外の企業、研究機関、大学等と共同研究、技術提供等を行う場面で、外為法に基づく該非判定や取引審査、組織体制整備などの対応が必要となる場面が多くあります。 弊所は今後、量子鍵配送技術推進委員会の活動に際して必要となる外為法に基づく輸出規制対応を中心に、許認可分野を幅広く担って参ります。 職務遂行に必要となる量子暗号の知識の獲得については、佐々木先生や、NICTの量子ICT研究室長の加藤先生にもご協力を頂き、NICTにてご説明を頂いたり、技術者向けのセミナー等に参加させて頂いたり、所内教育として量子暗号の科目を新設したりと、関与職員の能力養成に努めております。 各職員1冊ずつ、佐々木先生の著書を頂きました(奥付に贈呈印) 量子フォーラムのWebページ(ご参考) 量子フォーラム技術担当理事・量子鍵配送技術推進委員長 佐々木先生のご紹介ページ 量子暗号に関する初学者向けの説明資料
- 造船会社の先生から造船業の教育を受けました🚢
弊所は、行政書士法人のほか海事代理士メイガス海事法務事務所も開設しております。 その他に、過去にJAMSTECの海洋地球研究船『みらい』に関する許認可関連の業務を受任したり、漁船、調査船、救命艇、潜水艇の輸出に必要な許認可に対応したりと、船舶との縁が深い事務所でもあります。 また、船舶・船体だけでなく、船に搭載されている舶用機器の該非判定に関する業務にも携わらせていただきました。 このように、弊所は船舶に関するご依頼を頂くことがありますので、船舶の知識をより深めるため、所内教育として、海上自衛隊と、大手造船会社で勤務されていた弊所海事顧問の登米先生より、造船業に関するご講話をいただきました。 教育内容の抜粋 まず、国内の造船会社には大きく分けて重工系とオーナー系があるということを学びました。重工系は上場企業、オーナー系は非上場の企業が多く、経営体制は企業により大きく異なるとのことでした。オーナー系にも株式を公開している企業もありますが、海外の投資家からの注目が高く、対内直接投資審査制度の観点からも注意が必要であると考えられます。 日本は島国であるため、四方を海に囲まれた構成です。そのため、海上の警備や輸送力は船に頼る部分が多くを占めます。 日本の造船業の強みとして、「高い技術力」や「アンモニア・水素等を使用した次世代燃料船の製造」、「自衛隊向けの船を国内で製造可能」等が挙げられます。しかしながら、高い技術力の反面、高額になりやすく船が売れにくいことや、造船に使用する土地が足りず一括で大量生産を行うことが難しいこと、人材不足等の問題点等は未だ多く残る状況だそうです。 また、世界シェアについても他国の台頭により遅れをとる部分もありますが、防衛移転三原則の改正により海上自衛隊の護衛艦「もがみ型」の改良型をオーストラリアに輸出するなどの事例などを通して、日本の造船業の再生が期待されています。 日本の造船業の再生・強化のためには「強い経済」を実現する総合経済対策が必要であるとのことでした。 弊所としても、船舶・公船・艦船の輸出等に必要な外為法対応などで、今後も造船業界への長期的な関与が発生する見込みです。そのため、今回の教育により造船業の現状や業界知識等を学べたことは、今後の業務において大変有益で、貴重な機会でした。 筆者と船舶(事務所用の小型船を買いたくて見に行きました)
- 法務事務所でプログラミング教育?
弊所には、過去に特許庁で技術職として働いていたプログラマーが技術職員として在籍しており、普段は所内システムの構築・運用・保守などを担っております。 今回、プログラミングに関する知識を業務に活かすため、当職員を講師とし、職員向けの所内教育としてプログラミング教育を実施しました。 プログラミング実習ってどんなことをやるの? プログラミング実習は1年半という長期間をかけて、全常勤職員を対象に実施されます。初回教育では、プログラミングとは?コンパイル言語とは?といった初歩的な部分から始まり、受講者が各自、一から開発環境をインストールして、実際にプログラミングを行ってみる、というところまで行いました。 受講した職員は全員人生初のプログラミングだったので、黒い画面が出てくるだけで「プログラマーみたい!」と歓声が上がっていました。(実際はただのコマンドプロンプトです) なお、教育を見守っていた大沢は、「俺が10年以上前に初めてPythonを触ったときはEclipseだったけど、時代が変わったんだねえ」などと寂しそうにしていました。よくわからなかったです。 初回教育で実際にやってみたプログラミングは、条件分岐を使って、奇数か偶数かを判定させてみたり、複数条件を使って名前や年齢を入力すれば自社の社員であるか否かを判定させたり、といったものでした。 やはりプログラミングには向き/不向きがあるのか、できる人とできない人が結構分かれました。ちなみに私はできない方でしたが、途中からは少しできるようになってきました。自分の頭の中で考えていたことが実際にプログラミングしてできるようになるとやはり嬉しいものですね。 一方、非常に飲み込みが早く、講師のプログラマーからもその素質を認められた職員にコツを聞いてみたところ、「ないですけど・・笑」とのことで強者の余裕を感じました。はたから見ている者としては、言われたことをそのまま打ち込むだけでなく、基礎編にて習った数種類のプログラミングの型を組み合わせるのが上手く、その場に合った型を適切に活用しているのがすごいなぁと思っていました。こういう人って数学とかも得意そうですよね。 メイガスの業務とプログラミングの関係性って? 海外に配信するソフトウェアが輸出規制の対象でないかチェックする「該非判定」という作業をする際は、ソフトウェアの仕様や機能を知る必要がありますが、「仕様書なんかない!(あっても実態を反映していない)」ということもあります。その際に、たまにソースコードをそのまま送ってこられて、「このソースコードを提供していいですか」と聞かれることがあります。そのため、人が書いたソースコードを読んだりすることもあります。そのため、まずは自分でソースコードを書いてみる、という体験も重要になります。 人生初の自分で書いたコード! なお、このプログラミング教育は継続的に行っていく予定で、最終的には所内システムに各自新たな機能を実装するということを目指してまいります。(谷垣:難しそう~。。。泣)
- 所内教育紹介(通信)
弊所のクライアント・顧問先企業様の中には、通信関係の企業・団体の方も多くいらっしゃいます。例えば、放送事業者、通信衛星事業者、通信キャリア、携帯電話回線事業者、ネットワーク機器ベンダー、無線機メーカー、通信機器専門商社、防衛装備品商社等の方から、外為法を中心に、電波法、電気通信事業法等、様々な許認可のご相談を頂いております。 しかし、通信機器に関する許認可の申請を行うには、一般的な法令の知識だけでなく、通信関係の知識が必要です。 例えば、艦船に搭載する通信妨害装置を輸入したり、フェーズドアレイレーダーを外国企業と共同開発輸出したりする場合は、電波法や外為法の対応を検討する必要がありますが、通信関係の知識がないと対応が難しくなります。 そのため、弊所では通信関係の所内教育にも力をいれております。本記事では、通信に関する弊所の所内教育をご紹介致します。 なお、通信関係の所内教育は、無線通信士や無線技士の国家資格を有する行政書士や、大手通信キャリアでネットワークエンジニアとして働かれていた技術顧問(通信分野)が担当しています。 (ご参考)弊所が提供しているICTに関する法務サービスの紹介ページはこちら https://www.magus-legal.com/ict/ ① 所内での座学 弊所では、通信関係の技術系教育と法律系教育を職員向けに実施しています。 技術系教育科目の一例:『通信工学』『無線工学』『電波工学』『電磁気学』等 法律系教育科目の一例:『外為法(通信関係)』『電波法』『電気通信事業法』『有線電気通信法』等 座学では、無線通信士・無線技士用の教材や、電気通信主任技術者試験用の教材、理工系の大学・大学院で使用される通信系の教材、電子戦関係の教材など、様々なものを使います。 外為法及び輸出令・外為令・貨物等省令では、スペクトラム拡散や周波数ホッピング、ウルトラワイドバンドといった通信用語が登場しますが、これらすべてを体系的に理解するためには、座学教育は非常に重要となります。 所内教育で使用する教材の一部 (右の写真の電波法令集、でかすぎる) ② 見学・実習 座学で基礎的な知識を得たら、次は見学・実習を通して、実際のところを学んでいきます。 弊所ではNICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)や、陸上自衛隊 システム通信・サイバー学校、航空自衛隊 電子開発実験群(通信機材の研究を行う部隊)等を外部研修として訪問し、研究者・実務者の方から直接お話をお伺いしています。 参考コラム:部隊研修(電子開発実験群) 参考コラム:学校研修(陸上自衛隊システム通信・サイバー学校) 左:陸上自衛隊のネットワーク電子戦装置 右:NICTで見学した空間光通信の実演 また、他にもNICTでは、輸出規制の対象技術であるウルトラワイドバンド通信技術の応用に関する研究(短い時間インパルスを用いたIR-UWBを用いた距離計測に基づく自律走行ロボットの制御に送信電力制御の手法を用いることで電波反射に起因するマルチパスの影響を低減する研究)の説明を受けたり、航空機搭載用の薄型アレイアンテナの実物を見学したりと、(性能や仕様によって)規制対象となる通信機材の実物や、通信技術の研究開発・社会実装の状況をお伺いしました 左:災害時用の通信車両 右:インパルス型ウルトラワイドバンド無線端末 他にも、普段仲良くさせて頂いているJAMSTEC(国立研究開発法人 海洋開発研究機構)では、水中音響通信の実演を拝見しました。 水中音響通信というと耳慣れない方もいるかと思いますが、水中では電波がほとんど届かないため、潜水艇やROVが水中で撮影した映像を地上(船上)へ伝送するためには、電磁波ではなく音をキャリアにして通信しています。こちらも仕様によっては輸出規制の対象となります。ちなみに、GPSの信号も水中にはほとんど届かないため、潜航中の潜水艇やROVは自己の位置を知るために、GPSではなく慣性航法装置を使います。 JAMSTECによる水中音響通信の実演 上記の水中音響通信システムでは、水深6,500mの深海から、最大80kbpsでの通信が可能です。最速で1秒1コマの画像を送ることもできます。 水中の音波は空中の電波と比べて20万倍遅く伝わるため、反射波が長い時間間隔で受信され、信号に大きな歪みが生じます。また、水中の音波は空中の電波に比べて利用可能な帯域幅が狭いため、高速化のハードルが高くなります。 所内教育受講者の感想 職員A「以前にもこの教育は受けたのですが、何年も経っているので忘れていないか不安なのと、5Gどころか6Gなど新しい話も出てきているので、復習も兼ねて再度この教育を受けることを希望しました。周波数ホッピングやスペクトラム拡散などの、普段の業務でもよく使う知識は覚えていたのですが、QAM(直角位相振幅変調)といった変調方式や、OFDM(直交周波数分割多重方式)といった多重化方式に関する知識は私の担当業務ではあまり使わないため、時間が経って少し曖昧になっていました。5Gに関する相談が増えているので、改めて関連技術を復習しようと思います。」 職員B「電気用品安全法ではEMCの試験をしたり、電波法ではBODY-SARの試験をしたりしますが、実習で実際に電波暗室で試験をしたり、NICTでBODY-SARの試験方法を見学したりと、貴重な経験をできたおかげで勉強になりました。CISPRの試験基準とPSE別表第十の試験基準の違いもよくわかりました。ただでさえ電波は目に見えないので、せめて機材だけでも実機を目にできて良かったです。」 職員C「顧問先企業様からのご依頼で、タイムサーバーや、ルビジウム発振器といった機器の該非判定(貨物が輸出規制の対象となるか否かの判定)をしたことがあるのですが、なかなか実物を見たこともない装置では原理を勉強しても腹落ちしにくい気がします。実際に原子時計の実物や運用状況を拝見することで、より理解が深まったと感じました。」 職員D「わたしは水中通信装置の輸出案件を担当したことがあり、水中通信装置はスペックによっては外為法において輸出規制の対象とされているので、該非判定と輸出許可申請などの許認可対応を行ったのですが、実際問題、電磁波ではなく音の波で本当に通信できるんだろうかと疑問に思ってました。それが、今回JAMSTEC様にお伺いして水中音響伝送の実演を拝見して、音声どころか画像までしっかり伝送できるのを見て、こんなにちゃんと通信できるのかと、とても驚きました。やはり、実物を見ることは非常に大事だと思いました。」
- 第7師団実動演習を視察しました⛺️
顧問先企業の方々には前もってお伝えさせて頂いておりましたが、6月9日(火)~6月12日(金)まで、弊所の全常勤職員が部外研修のため、北海道に出張しておりました。 具体的には、陸上自衛隊第7師団が北海道大演習場で実施するAC-TESC(Armored Combat-Training Evalution Support Center、機械化部隊戦闘訓練評価支援センター方式による訓練)を見学させて頂きました。今回見学させて頂いたAC-TESCでは、攻撃側と防御側にわかれた戦車中隊同士の対抗型演習や、戦車中隊と普通科中隊の対抗型演習が実施されていました。 弊所職員たちは主に、演習統裁部にて担任官たる師団長から戦況の解説を頂いたり、器材管理隊の方からバトラー(交戦訓練装置)の交付と視準校正指導の様子をご説明頂いたり、衛生隊の医官から演習中の負傷者救護についてお話を頂いたりと、演習の裏方を支える方々のお仕事を勉強させて頂くことができました。 バトラーの校正場所と、バトラー交付場所でバトラーを試着させて頂く弊所職員 医官や看護官が常駐する演習場の救護所と救急車 演習というと、どうしても正面装備が勇ましく射撃する様ばかり想像してしまいますが、演習を成立させるために裏方として働く勤務員の方々のお仕事を知る機会は弊所には少なく、大変貴重な経験をさせて頂けました。 また、視察後は実際に演習に参加されていた戦車連隊の方々と意見交換を実施しました。 連隊の3科長から偵察小隊長、衛生小隊長といった幹部の方から、戦車の砲手、操縦手といった曹士の方まで、幅広い方々と率直に意見を交わすことができました。 ドローン対策のコープゲージを装備した90式戦車(左)と10式戦車(右) 搭乗員の方からお話をお伺いできました 昼食の戦闘糧食 いわし梅おかか煮が一番美味しかった
- 士業勉強会で防衛装備品の許認可のセミナーを実施
お世話になっております。行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。 弊所は安全保障分野の許認可を専門とする唯一の行政書士法人(本稿執筆時点)として、防衛装備品メーカー・商社様と顧問契約を締結させて頂いている関係で、先日、第75回渋谷士業勉強会にて、「防衛装備品の許認可」のセミナーを行って参りました。対面・Webあわせて20名程度の士業にご参加頂きました。 会場は、公益財団法人 水交会にて行わせて頂きました。水交会は、海上自衛隊殉職隊員等の慰霊顕彰、海軍の良き伝統精神の継承、海上自衛隊に対する支援協力を三本柱とする団体で、1876年(明治9年)に海軍省の外郭団体として発足した「水交社」を前身とする由緒ある団体です。 会場となった水交社 防衛装備品は、研究開発、試作、評価、量産/輸入、納入、保守、修理等の各ライフサイクルの段階において、それぞれ様々な許認可対応が必要となります。 その中には、会社として対応すべき情報保全に関するものもあれば、製造工程や装備品自体により対応すべき法令もあります。 特に後者としては、例えば外為法、武器等製造法、火薬類取締法、銃刀法といった、いかにも防衛装備品に関係しそうな法令だけでなく、装備品の種類や構造等によっては他の法令の許認可対応も必要となることがあります。例えば電子戦装置の場合、電波法や電気用品安全法の対応が必要となることもあります。 今回の勉強会では、弊所としてこれまでに関与してきた具体的な防衛装備品をベースに、どのような許認可や手続きが必要となるかをご説明しました。 また、防衛装備品の海外への流出事案や、非該当証明書(輸出しようとする貨物が、外為法に基づく輸出規制の対象外であることを証明する書類)の偽造事案など、深刻な実例についてもご紹介しました。 懇親会は、水交会の「クラブ水交」において、立食パーティー形式での開催となりました。 会議室の備品や絵画がとても『海軍』でした
- 中途職員から見たメイガス(ギャップについて)
今回は中途採用で弊所の職員となったHさんに、中途職員目線から見たメイガスについてインタビューしました。 ――まずは、転職を考えられた経緯から教えていただけますか? 前職では決まった流れのルーチンワークが中心でした。それはそれで安定していて良かったのですが、ふとした時に「自分はこのままでいいのかな」という不安が少しずつ大きくなってしまって。もう少し変化のある、自分の成長を実感できる環境に身を置きたいと思い、メイガスに応募させていただきました。 ――入職前と入職後のメイガスの印象について教えてください。 入職前は「安全保障」という非常に専門的で物々しい分野を扱っていることもあり、どこか厳格で、ピリピリとした「近寄りがたい組織」なのかなと身構えていました。 ですが、個別説明会での雰囲気は全く違うもので穏やかな口調と易しい説明で驚きました。また、実際に入所してみると、もちろん業務自体は高いプロ意識が求められますが、所内の雰囲気は驚くほどオープンで温かいんです。わからないことを気軽に質問できる風通しの良さがあり、移動中も「あの建物ってなんですか?」や「あの船どこに行くんでしょうか?」など子供のような質問にも論理立てて答えてくれる優しい所長擁する温かい職場です。 ――実際に入社してみて、前職とのギャップに戸惑うことはありませんでしたか? 正直に申し上げますと、最初は戸惑いの連続でした。毎日違う業務が入り、常に新しい知識を吸収しなければなりません。前職とは求められるスピード感も思考の深さも違って、「なんて密度の濃い環境なんだろう」と圧倒されることも多かったです。 ――社風や企業文化の違いについてはどのように感じましたか? 一番のカルチャーショックは求められる思考の瞬発力と知的好奇心の強さですね。前職では、整えられた仕組みの中でいかに正確かつ迅速に処理できるかが重要視されていました。一方でメイガスに舞い込んでくるのは安全保障や最先端技術に関わる前例も正解もないような相談が多く、これまでと同じ思考スピードでは対応できないし、未知の分野に対しても積極的に勉強をしていかなくては、と感じたのを覚えています。 また、風通しのよさや所内イベントの充実度は前職に比べて圧倒的だと感じています。普段の業務でも、「どう思う?」とこちらの意見をしっかり確認してもらえる場面が多く、自分の考えを率直に発信しやすい雰囲気があります。そうしたオープンな文化は社内イベントでも同じで、「ここに行きたいです!」「これを食べてみたいです!」と気軽に声を上げられる距離感があります。 前職では、コロナ禍だったこともあり、イベント自体が少なく、開催される場合も、近隣の居酒屋での忘年会といった比較的一般的な形式が中心でした。 一方メイガスでは、ホテルラウンジでカクテルやワインを楽しんだり、お花見としてクルーズ船を貸し切って夜桜を鑑賞したりと、イベントの内容を聞くだけでもワクワクするような企画が多くあります。社員同士の交流を大切にする文化が、こうした場面にも表れていると感じます。 ――新しい人間関係への不安はありましたか? 人間関係への不安は確かにありました。でも、メイガスには学生職員、若手、中堅と、多様なバックグラウンドを持つメンバーが揃っています。皆さん本当にフラットに接してくださり、年齢やキャリアの壁を感じさせない関係性なので、すんなりと馴染むことができました。仕事中はもちろん真剣ですが、ふとした雑談の時には笑顔が絶えず、とても居心地が良い環境です。 ――少数精鋭の事務所ですが、人間関係に窮屈さや不自由さは感じませんでしたか? 全員が安全保障のプロフェッショナルとしての目的意識をもって集まっており、お互いのプライベートや個人のスペースを尊重しあう文化が根付いています。 人数が少ないからこそ、お互いを一人の人間、一人の仲間として深く尊重しあっており変に委縮することなくのびのびと自分の意見をもって動くことができる不自由のない環境だと感じています。 ――入職直後は大変な日々だったかと思いますが、どのように乗り越えてきましたか。 所内の教育体制が非常にしっかりしており、多種多様な教材が揃っています。また、未経験に近い私に対しても、先輩方が順を追って丁寧に教えてくださり、辛抱強く支えていただいたと感じています。ひとつひとつ課題をクリアしていく中で、大変さよりも「もっと知りたい」という好奇心が上回るようになってきました。今は、毎日違う景色が見られるこの環境を、少しずつ楽しめるようになってきています。 ――即戦力としてのプレッシャーはありましたか? 最初は勝手に感じて焦っていました。中途採用ということもあり、先輩に確認してもらう際にもなるべく完璧なものを提出しなくてはという意識が強く、入職当時は分からないことについて考えこんでしまう時間が長かったのですが、「わからないことは考えずにすぐに質問してね」や「まずは方向性が決まったら教えて」と言っていただけて、肩の荷が下りたのを覚えています。今は完璧な即戦力として構えるのではなく、まずは自分にできること(丁寧な確認や報連相など)を確実に行うことを意識しています。 ――出張や外部研修など、外出の機会も多いと伺っています。 はい。想像していた以上に移動距離が長くて、最初は驚きました。 朝早くから遠方の現場へ向かうこともあり、体力的にタフさが求められるなと感じる場面も多々あります。 ただ、移動中にその日の業務を整理したり、研修で新しい視点を得たりすることは、欠かせない学びの時間になっています。また、遠くまで足を運ぶからこそ得られる経験がある、と感じています。 それに、この移動時間も実はすごく貴重なんです。長距離移動の際は移動中にも所長が勉強会を開いてくださることがあって、実務のポイントや専門的な知識を直接教えていただけるので、移動しながらどんどん知識を吸収できるんです。一人でただ移動するのではなく、常に学びがある。そんなところにも、この職場の密度の濃さが現れている気がします。 ――最後に、これから入社を検討されている方へ一言お願いします。 私自身、まだまだ勉強中の身ですが、ここは「変わりたい」という気持ちに寄り添ってくれる場所だと思います。最初は毎日必死かもしれませんが、サポートしてくれる環境は整っています。安全保障に関わりながら自分を少しずつアップデートしていきたい方と一緒に頑張れたら嬉しいです。
- 動物の糞のアクセサリーって海外に持ち出せるの?
先日、とある動物園の方による面白いSNS投稿を目にしました。 内容はなんと、ウサギやモルモットのうんちを乾燥させ、樹脂で覆ったキーホルダーの商品の販売告知でした。めずらしすぎる。 https://x.com/LOVE_IKEDAZOO/status/2050381860950483233 ↑ご存じない方は是非ご覧ください。GW特別企画『うんこ展』で販売される期間限定グッズで、もう販売期間は終了しています。 商品名は「うんこストラップ」とあまりにも直球でインパクトがあります。 生産者の顔としてうんちと共に動物さんの顔がキーホルダーにされておりますが、自分がこんなことされていたらと考えると尊厳破壊もいいところです。 とはいえウサギやモルモットはうんちすらもかわいいですね。私も愛猫のうんちだったら持ち運んでもいいかもとちょっと思いました。(当猫は嫌がるでしょうけど) ちなみに、こちらは飼育員の方が教材として手作りしているらしいです。 さて、貿易分野の許認可を専門とする弊所としては、「このアクセサリーを身につけて海外に渡航するときに、何か許認可が必要になるのか?」というのが気になるところです。 まず前提として、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)に規定する「廃棄物」に該当するものを輸出する場合には、廃棄物処理法に基づく環境大臣の確認又は許可及び「外国為替及び外国貿易法」(外為法)に基づく経済産業大臣の承認が必要です。 そして、廃棄物処理法には第二条において「ふん尿」は「廃棄物」に当たると書かれています。 ということは、動物の糞で作られたアクセサリーは廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当し、輸出を行う際には環境大臣の許可や経済産業大臣の承認が必要になるということでしょうか?「うんこストラップ」に対して大袈裟な気もします。 ということで、環境省の出先機関である関東地方環境事務所に確認してみました。 職員「動物のうんちを乾燥させてケースに入れたキーホルダーは、廃棄物処理法上の廃棄物に該当しますか?」 担当官「ええ~…そんなこと初めて聞かれましたねぇ…。乾燥させて商品になってるなら廃棄物処理法上の『ふん』には当たらないと思います。バーゼル法*上の『特定有害廃棄物等』に当たるかについては、商品になっていて害がないなら関係ないと思います。」 *「バーゼル法」とは、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関する国際条約(バーゼル条約)を日本国内で実施するための法律です(正式名称:特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律)。 ざっくり比較すると、廃棄物処理法は「有価物」か「無価物」かで「廃棄物」への該当性が決まり、バーゼル法では「有害物」か「非有害物」かで「有害廃棄物」への該当性が決まります。 例えば、毒劇物の混合廃液のような無価値な有害物は、廃棄物処理法でもバーゼル法でも規制対象となります。また、鉄くずのような無害な有価物は、廃棄物処理法でもバーゼル法でも規制対象となりません。 今回は、糞ではあるものの、商品ですから「有価物」で、樹脂で固められているから「非有害物」とされたのかと思われます。 ということで、今回の商品は廃棄物処理法上の「ふん」には該当せず、輸出を行う際の環境大臣の許可や経済産業大臣の承認は不要だということが分かりました。 お土産として飛行機で持ち帰っても問題ないので海外のお友達に日本のお土産として持っていけますね!めでたしめでたし。 ちなみに、弊所ではヒト由来の大腸菌の輸出に関わったことがありますが、こちらは人糞を輸出する形だったので、廃棄物処理法上の「ふん」に該当し、手続きが大変でした。 代表が「本人を海外に連れて行って現地でうんこさせろ!」とボヤいていた気持ちもわかります。 なお、当コラム内で「ふん」「うんこ」「うんち」と表記揺れがありますが、個人的に「うんち」はかわいくて下品さをあまり感じないので許せます。 最近の弊所のコラムでうんちの話題が頻出しているので、そろそろきれいな話でもしたいところです。
- カーボンナノチューブの研究所を見学しました🧪
先日、創業百年近くとなる株式会社山一ハガネ様の「CAST/Carbon-nanotube Added Surface Treatment」の研究所を所内研修のために、見学させていただきました。 実は山一ハガネ様とは弊所創業直後からのお付き合いであり、もう十年弱となります。CASTの研究開発に必要な様々な許認可対応をサポートさせていただいていたこともあり、今回の見学会も快くご了承いただきました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。 1. CASTとは CASTとは、金属にSWCNT(単層カーボンナノチューブ)を用いた表面処理を施すことで、熱伝達率向上、流動抵抗低減、濡れ性制御などさまざまな特性を付与することができる、世界で唯一の技術です。もちろん特許取得済みで、NEDOにも採択されています。 例えばエアコンや冷蔵庫等の熱交換器にCAST処理することで、消費電力を低減させることができます。 2.研究所見学 この日はまずCASTについて、開発者の田島様からご説明をいただけました。 現在日本の1/3の電力を使用しているといわれるデータセンターでも実証実験がされており、これまで銅製のコイルを用いて液浸冷却をしていたところ、CAST処理を施したアルミ製コイルでも同等以上の性能をもつことが判明し、置き換え可能とのことでした。その場合、約5%の省電力につながるそうです。 もし国内全てのデータセンターでCAST処理済コイルが採用された場合、日本の1/3の5%ですから相当な省エネにつながるということはお分かりいただけるかと思います。 質疑応答の時間では、弊所職員からの質問にも分かりやすくお答えくださり理解が深まりました。 その後ラボの見学もさせていただき、改良を重ねた末に誕生したCAST処理液の実物や、田島様が発明された研究機材の説明、またこれらを使った実際のCAST処理や実験まで解説付きで拝見することができました。 このような研究施設の整備や利用には様々な許認可対応が必要となります。新技術であり複雑な要素が絡み合うCAST事業部様からのご相談は非常に難しいため、弊所代表の大澤が直接担当しておりますが、「この装置を使うにはこの許認可が…」、「この試薬を製造するために色々な許認可が…」などの法務面でのお話も聞くことができ、大変勉強になりました。 左:CAST処理した金属板と未処理の金属板の熱伝達率の比較 中:CAST処理の実演 右:CAST処理液(CNTのおかげで真っ黒に見えますが、成分の大部分は水です) 3. 見学させていただいた職員の感想 「最先端の技術を開発する現場に触れることで、日本の製造業が持つ底力と、未知の領域へ踏み出す情熱を肌で感じることができました」 「表面処理によって熱伝導率ではなく熱伝達率が向上するという、今までの物理学の常識を覆すような研究内容であることに驚きました」 「化学関係の許認可を扱うときはケミカルの知識が必要ですが、私はケミカルの知見に疎いので、化学関係の法令で目にすることのある『局所排気装置』など様々な研究資機材の実物を見れてよかったです」 「分散液の原料となる試薬や、ナノマテリアルを一種類ずつチェックして、製造・販売・輸出・輸入・使用・輸送など、それぞれの段階で必要な許認可をクリアしていく仕事は本当に難しそうで、弊所業務の重要性が実感できました」 「このような革新的な技術を持つ企業や研究者の方をサポートできるよう、法令や科学の勉強を一層頑張りたいと思いました」
- 獣医の先生から動物検疫の教育を受けました
弊所は通商規制・貿易法務に関する許認可を重点的に取り扱っておりますが、メインは防衛装備品を含む工業製品で、動物生体の許認可を取り扱うことは多くはありません。 とはいえ、これまでにも医科大学や製薬会社、バイオベンチャー企業の方からのご依頼で、実験動物や、研究用の血液などを輸出する際の許認可対応を行ったことも何度もありました。 そのため、獣医師と行政書士のライセンスをもつ吉田昌則先生から、バイオ系の法務を担当する弊所職員に対して、動物検疫はどのような方法で実施されているのかといった実務や、家畜伝染病予防法などの法令の運用等についてご説明を頂きました。 ご講話の様子 ちなみに、今回ご講話をいただいた吉田先生は、以前弊所が見学させていただいた先端医療センターAdAMに勤務されていらっしゃるため、何度もお世話になっております。 (関連コラム:動物の手術を見学しました🐾) 今回の講話では、家畜伝染予防法の解説や、伝染病、検疫においての生体と畜産物の対応や注意点の違い、日本から輸出する際の対応、狂犬病やレプトスピラ症の詳細や実態等の様々な内容を、獣医師としてのご経験や実状の温度感を交えてお話してくださいました。 以下に、今回の講話で印象的だった点や、勉強になった点など、びっくりしたポイントをご紹介します。 びっくりポイントその1:口蹄疫 動物が感染する伝染病には多くの種類がありますが、家畜伝染予防法に定められている家畜伝染病のひとつに「口蹄疫(こうていえき)」というものがあります。この口蹄疫が感染を起こす対象としては牛、めん羊、山羊、豚等がありますが、空気感染を起こす口蹄疫ウイルスというものが原因とのことでした。 口蹄疫ウイルスとは、ピコルナウイルス科アフトウイルス属に属する約21〜25 nm程度の非常に小さなウイルスです。1 nmは1 mmの100万分の1の大きさであり、飛沫感染を起こすインフルエンザウイルスなどは約100 nm(0.1 μm)ですが、このさらに100分の1のサイズということです。 このサイズの何が問題かというと、インフルエンザウイルスの大きさであれば、不織布マスクである程度予防できますが、口蹄疫ウイルスの大きさでは不織布マスクはもはや無意味となり、空気感染してしまうのです。マスクで防げないとなると、どれだけ感染威力が強いかをご想像していただけるかと思います。 感染力が非常に強いため、一度発生すると封じ込めが非常に困難であり、家畜産業に大きな打撃が与えられます。インフルエンザウイルスにA型、B型があるように、口蹄疫ウイルスにも複数の変異株が存在しますが、株ごとに有効なワクチンが異なるため、事前の完全な予防も難しいです。 しかしながら、幸いなことに口蹄疫は現在日本で確認されておりません(過去にはありました)。日本のおいしい牛さんや豚さんには影響が及んでいないと聞いて、一安心でした。 びっくりポイントその2:牛海綿状脳症(BSE) 狂牛病、プリオン病とも言われ、ご存じの方も多い病気かと思います。私も本講話の受講前からなんとなくは知っていたのですが、実態や事例を伺い驚きの連続でした。 そもそも牛海綿状脳症(BSE)とは、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染した場合、牛の脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し、死亡するとされている牛の病気の一つです。感染原因として、牛海綿状脳症感染済みの牛の肉骨粉等を原料としたえさを他の牛に与えたことにより、この感染症が広まったと考えられていますが、本来草食動物である牛に肉食(しかも同種の肉)をさせたことによる影響は大きなものであったと言えます。 そのため、日本での輸入検疫においては骨粉・肉粉・肉骨粉等は、動物検疫所における輸入検疫証明書の発行を停止されています。 ちなみに、牛海綿状脳症に感染済みの牛の肉骨粉等を食べることによって、人やネコに感染した事例があります。ウイルスや菌ではなく、プリオン(タンパク質)の経口摂取によって種の壁を越えて感染するということに驚きました。タンパク質を消化できてるはずなのに…。 びっくりポイントその3:レプトスピラ症 届出伝染病の一種であるレプトスピラ症はネズミ等の齧歯類の尿から発生し、犬や人に感染をする人獣共通の感染病です。レプトスピラ症の存在をこの講話で初めて知ったのですが、獣医の方にとっては狂犬病と同じくらいメジャーな感染症であり、犬を飼う場合はワクチンの接種が必要とのことです。犬が日本から出国する場合、動物検疫所にて出国前に狂犬病とレプトスピラ症の検査及び輸出検疫証明書の交付を受ける必要があります。 特に驚いたのは地域性があり、東日本と西日本ではこの病気への警戒感も異なるということでした。風土病というか、そういった地域差もあるのですね。 職員の感想 「海外旅行に行った際、ビーフジャーキーなどの肉類の持ち込みが規制されていますが、動物を生体として持ち込むわけではないのに、なぜ禁止か分かっていませんでした。今回の教育を受けて、どのような検査が必要で、検疫はどのような病気を見て、どのような事態を警戒しているのかよくわかりました。」 「印象的だったのは、狂犬病は神経を通って脳や脊髄を破壊することによって死亡するという恐ろしさです。ただ、発症が遅いため、狂犬病を発症している犬に嚙まれたとしても、その後にワクチンを打つことで対応ができるという点は驚きでした。噛まれたら直ちに皆が死んでしまうのかと思っていました。ただ、狂犬病のウイルスは一日何ミリといった単位で進んでいくということを知って、感染して症状が進行していくのは怖いだろうなと思いました。」 「狂犬病の清浄化に成功している国の少なさに驚いた(清浄化に成功しているのは日本、オーストラリア等の島国か、スウェーデン等の半島のみ)。検疫という視点から見た島国のありがたみを感じた。」 「牛海綿状脳症(BSE)が牛人感染するのが怖い。その内容を獣医の方から聞くのはより臨場感があった。近くに脳を食べるのが好きな人がいなくて安心した。」 「弊所でも研究目的で、人のうんちを中国に輸出する許認可をやったことがあるため、改めて貿易管理業務の幅広さと奥深さを学びました。」 ↑「もう『中国に行って現地でうんこしてくれよ』って思ったね」 左:弊所の大沢 右:ご講話を頂いた吉田先生
- 欧州遊学グルメ旅🍴
お世話になっております。メイガス国際法務事務所の加藤です。先日、機会があって、イギリスに行って参りました。(関係コラム:ロンドン大学で授業を受けてきました!) 外国に行った時の楽しみは人それぞれにあるものかと思いますが、現地ならではのお料理を食べてみたり、お店の雰囲気を感じてみたりできると、いつもよりも特別な気持ちになれるので、私にとっては食事も楽しみの一つになっています。 実はイギリスに入国する前に、近隣国であるフランスとベルギーにも立ち寄りましたので、今回は「フランス、ベルギー、イギリスに行ったらまた食べたい、美味しかったもの」をご紹介していきたいと思います。 〈フランス〉 ① 【Le Balto】 オニオンスープと、トリュフクリーム・生ハム・グラナパダーノのペンネ セーヌ川左岸に位置し、エレガントな雰囲気が漂うパリ6区のマザリーヌ通り15番地にある「Le Balto」でランチを頂いてきました。フランスに行って食べたいものといえば、オニオンスープが浮かぶ方もいるのではないでしょうか。私もオニオンスープを注文し、熱々のスープとスープの染み込んだひたひたのパンを楽しんできました。 また、スープと一緒にトリュフクリーム、生ハム、グラナ・パダーノのペンネを頂きました。軽食に見えて、思ったよりもお腹いっぱいになるので、お腹をすかせてから行くことをおすすめします。また、スタッフのみなさんがフレンドリーな接客でもてなしてくださるので、フランス語が得意でなくても、温かみのある雰囲気が感じられるビストロです。 ② 【La Petite Louise】 クロワッサンとホットチョコレート こちらのお店は、パリ東駅から徒歩7分程の場所で、お店の近くにはアフリカ料理やハイチ料理などのエスニックなレストランもあり、多文化を感じられる面白い土地にあります。そんなパリ10区のフォーブール・サン=マルタン通り65番地に位置する「La Petite Louise」では、朝の時間帯にホットチョコレートを頂いてきました。 スタッフの方に「クロワッサンもいる?」と聞かれたら、是非注文することをおすすめします。甘くて温かいホットチョコレートと、バターの香りがする本場のクロワッサンは、ほっと一息つける優雅な時間をもたらしてくれます。ただ、クレジットカードの使える最低限度額がお店に設けられているようなので、念のために現金も用意しておくと安心です。 ③ 【Ritz Paris Le Comptoir Cambon】 こちらは、コンコルド広場から徒歩9分程の場所で、パリ1区のカンボン通り38番地にある「Ritz Paris Le Comptoir Cambon」で購入できるマドレーヌです。お店のあるパリ1区にはルーヴル美術館やオランジュリー美術館があり、芸術の都パリを感じられる街の一角にお店も佇んでいます。 高級感のある店内ではケーキやサンドウィッチなどと一緒にティータイムを楽しむこともできますが、持ち帰りでの購入も可能です。私はお土産にしたいと思っていたので、マドレーヌを持ち帰りで購入しました。レジでお会計を済ませると、お姉さんが、賞味期限は5日間であることを教えてくれました。やはり何事も下調べは大事ですね!下調べなしで購入したマドレーヌは誰にも配れず、私の渡航中のおやつになりました。ぎっしりと重みがあってコーティングの施されたマドレーヌは、普段日本で食べる焼き菓子よりも美味しかったです。 〈ベルギー〉 ④ 【Chez Leon】 鍋入りムール貝の白ワイン蒸し ブリュッセルでは、国民食であるムール貝を頂いてきました。私が行ったのは、世界文化遺産であるグラン・プラスから徒歩3分程の場所で、ブッシェ通り18番地にある「Chez Leon」というお店です。「Chez Leon」は1893年からこの場所で営業している、歴史のあるレストランです。 ムール貝自体ももちろん美味しかったのですが、鍋の底に溜まったスープは飲んでも良し、パンにつけても良しでとても美味しかったです。ムール貝と一緒に飲んだビールはピルスナータイプのもので、こちらも美味しく頂きました。また、「Chez Leon」には日本語のメニューもありましたので、気軽に行くことができておすすめです。 グラスにはCEマーキングがされており、ヨーロッパを感じました。 ⑤ 【Maison Dandoy – Tearoom &Waffle】 ブリュッセルワッフル ベルギーのおやつといえばワッフルですので、グラン・プラスからすぐ側(徒歩1分程)の場所で、シャルル・ビュルス通り14番地にある「Maison Dandoy – Tearoom &Waffle」に行ってきました。 ベルギーワッフルには、丸型でしっかりした「リエージュ・ワッフル」と長方形でサクサクな「ブリュッセル・ワッフル」の2種類があるようです。どちらにしようか悩みましたが、今回、私はブリュッセルにいるということで「ブリュッセル・ワッフル」を選びました。 約180年前から続くお店のワッフルは、サクサクな生地に苺がたっぷりとトッピングされていて美味しかったです。持ち帰りをする人とカフェを利用する人では、並ぶ列が違うのでちょっと注意が必要です。 ⑥ 【Maximiliaan van Oostenrijk】 ストーフレーとポテト 世界遺産の都市ブルージュでは、べギン会修道院の近く(徒歩2分程)でワインガールト広場16番地にある「Maximiliaan van Oostenrijk」でストーフレーを頂きました。 ストーフレーとは、フランドル風ビーフシチューのオランダ語名称であり、ワインではなくビールで煮込んでいることが特徴的です。伝統的な料理であるストーフレーの牛肉は柔らかく煮込まれていて、とても美味しかったです。ビーフシチューといえばスプーンで頂くイメージがあったのですが、ナイフとフォークで頂けるくらいシチューがしっかりしていたことには驚きました。 また、ポテトにはケチャップを付けるかマヨネーズを付けるかを選べたのですが、私は欧州らしくマヨネーズを選びました。普段、マヨネーズを好んで食べない私ですが、欧州のマヨネーズは美味しく頂けました。 ⑦ 【Fin de Siècle】 カルボナードと自家製レモネード カルボナードとは、フランス語圏でのビールで煮込んだビーフシチューの呼び名になります。どうやら、フランス語ではカルボナードと呼び、オランダ語ではストーフレーと呼ぶのだそうです。 私はブリュッセルのグラン・プラスから徒歩7分程の場所で、シャルトルー通り9番地にある「Fin de Siècle」に行ってきました。席に着くとドリンクメニューが手渡され「フードメニューは壁にあるよ」と教えてもらえます。壁のメニューから食べたい料理を見つけるのにはちょっと苦戦しました。そうこうしていると「なんで1人なの!?今日はバレンタインじゃないか!ちなみに、こいつはすごくいい奴なんだよ!」と別のスタッフを指しながら話しかけてももらえます。すっかり忘れていましたが、この日はバレンタインデーでした。 スタッフの方も気さくな人が多いですし、バレンタインデー文化を大事にする海外の雰囲気が感じられて面白かったです。また、自家製レモネードはさっぱりとしていてすごく美味しかったので、おすすめです。 〈イギリス〉 ⑧ 【バラマーケット(Borough Market)】 マッシュルームリゾット ロンドン橋から徒歩2分程のサザーク・ストリート8番地にあるバラマーケット(Borough Market)の屋台で購入できるマッシュルームリゾットです。バラマーケットは1756年以来、現在の場所で営業が続けられている市場で、イギリス全土からだけでなく、世界中から集められた食品を見つけることができます。 「LEE BROTHERS POTATO MERCHANTS」と書かれた看板の下で構えているお店がマッシュルームリゾットの屋台です。お店の前を通ると「いいから一回食べてみてくれ」と言わんばかりに、スタッフの方が試食を勧めてきてくれます。チーズとマッシュルームがたっぷりな上に、香りもいいので買わずにはいられませんでした。 ⑨ 【Regency Cafe】 イングリッシュブレックファースト ロンドンでは、ウェストミンスター近郊のリージェンシー・ストリート17–19番地にある「Regency Cafe」でイングリッシュブレックファーストを頂きました。「Regency Cafe」はいくつかの映画にも登場したことがあるようで、ロケ地としても知られているようです。 プレートには、卵、ベーコン、ソーセージ、ベイクド・ビーンズ、トマト、ハッシュドポテト、マッシュポテト、マッシュルーム、ブラックプディングが盛り付けられていて、大満足な一皿でした。どれも素材の味が感じられて美味しかったです。プレートの他にも、薄切りのトーストと紅茶を頂きました。弊所の大沢は「イングリッシュブレックファーストの薄切りトーストを食べてから、厚切りのトーストはもう食べられなくなった!」という程、薄切りのトーストが大好きなようで、イギリスに行ったら薄切りのトーストを食べてくるように言われていました(笑)表面のサクサク感が美味しくて無事に私も薄切りトーストのファンになりました。 ⑩ 【Rock and Sole Plaice】 フィッシュ&チップス キングス・カレッジ・ロンドンから徒歩で12分程の場所にあり、エンデル・ストリート47番地に位置する「Rock and Sole Plaice」では、フィッシュ&チップスを頂きました。 「Rock and Sole Plaice」は1871年創業のロンドンで3軒目にできた伝統的なお店になります。さらに、第二次世界大戦時には、空爆で家を失った避難民への物資配給計画を立てるために、お店の地下室は地域のボランティアたちが集う場所として利用されていたようです。 今回は店内が満席だったため持ち帰りで購入したのですが、時間が経っても美味しかったです。また、注文をする時に、料理に塩とお酢をかけるかどうかを聞かれたので、私はなんとなく、お酢を抜いてもらったのですが、お店の人にはとても驚かれました。日本に帰ってから職場でその話をしたところ「お酢がいいのに!」と言われてしまったので、今度行った時にはお酢をかけてみようと思います。
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