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  • 水中ドローンの展示会に行ってきました🌊

    今回は、2026年10月22日・23日に静岡県の清水港で開催された、水中ドローンの総合展示会「OceanBiz 2026 in SHIZUOKA」を訪問してきました。 弊所では、水中ドローンや海洋調査機器などのメーカー・商社、海洋調査を行う企業様から、輸出時の外為法対応(該非判定等)や、輸入時の電安法対応等のご相談を頂いています。 今回は弊所のクライアント様が複数社出展されている展示会を訪問し、様々な水中ドローンや関連技術を一度に見学してきました。 OceanBizとは? OceanBizは、一般社団法人日本水中ドローン協会が主催する、水中ドローンをはじめとした海洋技術の総合イベントです。 今回の会場となったのは、静岡市の清水港と清水マリンターミナルです。このイベントの面白いところは、単に展示会場で機器を見られるだけでなく、清水港の実際の海で、水中ドローンなどのデモンストレーションが行われることです。 スペースワン様のデモ 水中ドローンは、海水の濁りや潮流、海底の状態などによって運用条件が大きく異なります。そのため、カタログに記載された性能だけでなく、実際に水中でどのように動作するのかを知ることも大切です。 水中ドローンにも色々な種類があります 水中ドローンには、様々な種類があります。 例えば、ROV(Remotely Operated Vehicle)は、人間が遠隔操作する水中ロボットです。多くの機体では、操縦者と水中の機体が有線(ケーブル)で接続されています。 それに対して、AUV(Autonomous Underwater Vehicle)は、ケーブルで繋がれておらず、あらかじめ設定された経路などに従い、自律的に航行する水中ロボットです。 こちらはROVです。黒いケーブルが見えますね。 左のオレンジのROVからは黄色のケーブルが、右の黒色のROVからは黒色のケーブルが見えます。 上記は貨物等省令の抜粋ですが、水色部はAUVではなくROVに対する規制です。 このように、ROVかAUVかなどの仕様が、水中ドローンの外為法対応(該非判定)において重要となります。そのため今回の展示会は、様々な水中ドローンの実機を見学し、製品知識を深めることができ、大変有意義でした。 今回は特に事前にご連絡もせず一般参加者として、ふらっとクライアント企業様のブースを遠慮がちに見学させて頂いたのですが、(すぐにバレてしまい)お忙しい中にもかかわらず親切にご対応を頂けましたことを改めてお礼申し上げます。

  • 水中ドローンの操縦教習を受けました🔰

    皆様、いつもお世話になっております。行政書士法人メイガス国際法務事務所の谷垣です。 先日、株式会社スペースワン様(一般社団法人日本水中ドローン協会の事務局)で、水中ドローンの操縦に関する教習を受けてきました。 私は海事代理士・潜水士の資格をもっており、水中ドローンなどの海洋機器の許認可対応を実施しています。普段は外為法や電安法、電波法などの許認可対応のために仕様を確認している機器を、今回は自分で操縦してみて、水中ドローンに対する知見を深める趣旨の研修でした。 今回操縦したドローン 水中ドローンと行政書士のお仕事 水中ドローンは、水の中で撮影や調査、点検などを行う無人の機器です。船の底を点検したり、養殖場の網が破れていないか確認したりと、海の中を調べる様々な仕事で使われています。 弊所には海洋機器のメーカーや商社、海洋調査を行う企業様などからご相談があります。そのため、水中ドローンについても「海外に販売したい」「調査のために海外や公海へ持ち出したい」といった場面で、外為法による輸出規制を検討することになります。 ちなみに、輸出規制の法令には「潜水艇」という言葉が出てきます。潜水艇と聞くと、人が乗る大きな乗り物を想像するかもしれませんが、無人式のものも規制の検討対象に含まれます。水中ドローンのような機器を領海外へ持ち出して使用する際も、このような規定を確認していくわけです。 機体の外にも気を配る水中ドローンの操縦 今回お世話になったスペースワン様は、水中ドローンの販売や水中調査・点検、操縦者の育成などを行っていらっしゃる会社で、実際に水中ドローンを使ってお仕事をされている方から、操縦について教わる機会を頂きました。 水中ドローンには、操縦装置と機体をケーブルでつなぎ、機体のカメラ映像を見ながら操作するものがあります。機体がどちらを向いているのか、何がカメラに映っているのかを確認しながら動かすので、画面の中の水中の様子を読み取る必要があります。 また、ケーブルは通信のために必要なものですが、実際の運用では、そのケーブルが機体や周囲の物に絡まらないように管理することも大切です。機体の操作と、周りの安全管理を一緒に考える必要があります。そのため、操縦者・見張り・ケーブル員(ケーブルが過度に弛まないように調整する人)の三人態勢での運用が推奨されています。 操縦の勉強も輸出管理の仕事に役立つ さて、普段の輸出管理のお仕事に話を戻します。 例えば、機体の深さを一定に保つ機能と、機体が自分で進む経路を決める機能は、どちらも何かを「自動」で行っていますが、内容は違います。製品資料に「自動制御」と書かれていても、何を自動で行っているのかまで確認しなければ、法令の要件と照らし合わせることはできません。 このとき、操縦者が行う操作と、機体側が行う制御について知っていると、仕様書を読む際にも、クライアント様に機能を確認する際にも役立ちます。操縦の勉強と法令の勉強は、こういうところでつながっています。 実際に操縦してみて 今回は、東京海洋大学の越中島キャンパスの船舶運航性能実験水槽をお借りして水中ドローンの操縦を行いました。水深は2~3mほどで、学校のプールよりも大きく深いです。 実際に操縦を行った感想としては、前後左右に動かすような単純な操作は簡単ですが、目標物を画角に捉えながら旋回するような、少し複雑な動作になると一気に難しくなりました。水中ドローンを目視できる状況ではまだ感覚がつかみやすいのですが、水中ドローンのカメラのみで操縦するとなると特に感覚がつかみにくかったです。実際にお仕事で水中ドローンを操縦される方は濁りなどで水中ドローンを目視できない場面の方が多いと思いますので尊敬します。 私はメイガスの海洋担当(海洋キャラ)として、海事代理士や潜水士の勉強で得た知識に、今回の水中ドローン操縦に関する知見も合わせて、様々な海洋分野のご相談に応じていきたいと思います。 スペースワンの皆様、このたびはご指導頂き、ありがとうございました!

  • 楢葉遠隔技術開発センターでロボット/ドローンの勉強をしてきました

    弊所では、ロボットや空中/水中ドローンのメーカー・商社・エンドユーザーの企業様から、これらの機器の輸出入に関する許認可や該非判定、その他の法規制についてご相談を頂く機会があります。 ロボットやドローン(空中/水中)を輸出入する場合は、安衛法、航空法、電波法、外為法などの様々な法令への対応を検討する必要があります。特に、放射線耐性のあるロボットなどは輸出規制の対象となることがあるため、注意が必要です。 しかし、こうした法規制に対応するためには、法律の知識だけでなく、ロボットやドローン自体の知識も最低限必要となります。 そこで今回は、弊所職員の外部訪問研修として、福島県双葉郡楢葉町にある国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)福島廃炉安全工学研究所 楢葉遠隔技術開発センター(NARREC)を見学させて頂きました! 見学させて頂いた研究管理棟(1枚目)と試験棟(2・3枚目)。 試験棟のシャッターが非常に大きく驚かされました(近くの人間用のドアと見比べてみて下さい)。 楢葉遠隔技術開発センターとは? 楢葉遠隔技術開発センター(NARREC)は、東京電力福島第一原子力発電所(F1)の廃炉作業に必要となる遠隔操作機器(ロボット・ドローン等)の開発・実証を支援するために整備された施設です。 原子力発電所の廃炉作業では、放射線量が高い場所や、構造物が複雑で人が立ち入ることが難しい場所での作業が必要になります。そのような場所で人間に代わって活躍するのが、遠隔操作ロボット/ドローンです。 例えば、カメラを搭載したロボットで建屋内部を調査したり、水中ドローンで水没した設備の状態を確認したりと、さまざまな用途が考えられます。 もっとも、ロボットを実際の現場に投入するためには、現場の環境を想定した十分な試験が必要です。 そこで楢葉遠隔技術開発センターには、ロボットの走行性能や水中での動作、位置や姿勢などを検証するための設備が用意されています。 見学させて頂いたドローンやロボット。弊所職員も操縦を体験させて頂きました。 高専生を対象とした廃炉創造ロボコンの優勝機も展示されていました。 ロボットの性能を調べるための試験設備 同センターの試験棟には、ロボットの性能を検証するためのさまざまな設備があります。特に興味深いのが「ロボット試験用水槽」です。こちらは直径4.5m、水深5mの大型水槽で、真水だけでなく、濁水や塩水などを使用した試験も可能となっています。水中ドローンは、必ずしも透明で穏やかな水中で使用されるわけではありません。実際の使用環境では、水が濁ってカメラによる視認が困難になったり、潮流によって機体が流されたりすることもあります。そのため、さまざまな水質・環境を模擬できる水槽は、水中ドローンの性能を確認するうえで非常に重要です。 NARREC様のページより引用 https://naraha.jaea.go.jp/facilities/details/water_tank.html また、同センターには「モックアップ階段」という設備も設けられています。こちらは階段の傾斜角度や幅、踏板の材質などを変更できる設備で、実際のF1建物内にあるような階段を再現し、ロボットが安全に走行できるかなどを試験することができます。 NARREC様のページより引用 https://naraha.jaea.go.jp/facilities/details/stair.html さらに、「モーションキャプチャ」という設備も見学させて頂きました。モーションキャプチャとは、複数のカメラなどを用いて物体の位置や動きを計測する技術のことです。空中ドローンや地上走行ロボットの姿勢、速度などを計測・分析することで、機体の性能評価に活用することができます。 NARREC様のページより引用 https://naraha.jaea.go.jp/facilities/details/motion_capture.html VR・AR技術も活用されています ロボットの試験設備以外にも、同センターにはVRやARを用いた設備が設置されています。 これらのシステムでは、F1(福島第一原子力発電所)の建屋内部などを仮想空間として再現することができます。 廃炉作業では、作業員が実際の現場に立ち入ること自体が危険を伴う場合があります。 そこで、事前にAR・VR空間で現場の構造や作業経路を確認したり、作業計画を検討したりすることで、実際の作業に備えることができます。 最初に福島第一原子力発電所(F1)の構造と現状の説明を受けてから、F1を模したVR環境を体験しました。 今回の研修を通して 今回の見学では、ロボットを現場で運用するために必要な試験設備や、遠隔操作技術が活用される場面について学ぶことができ、大変有意義な研修となりました。 今回学んだことを、今後のドローン・ロボット関連の法規制業務にも活かしていきたいと思います。 最後になりましたが、ご多忙のところ見学の機会を設けて頂きました、NARRECの皆様に厚く御礼申し上げます。 頂いたハイチュウならぬケンキュウチュウ

  • 声優・行政書士の駒東先生からボイストレーニング研修を受けました🎤

    お世話になっております。行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。 先日、声優としても行政書士としてもご活躍されている駒東寛之先生に弊所へお越し頂き、セミナーでの話し方を磨くためのボイストレーニングをご指導頂きました。 (駒東先生が所属されている芸能事務所の紹介ページ) https://www.leopardsteel.com/talent/Komato_Hiroyuki/ 駒東先生は、声優として活動される一方、リーガラクト行政書士事務所の代表も務めていらっしゃいます(行政書士としては加藤先生としてのお名前で活動されています)。 今回は行政書士法人としての我々がボイストレーニング研修を受けるということで、皆でカラオケがうまくなることを目指しているのではなく、弊所職員が登壇するセミナーなどでより上手に声を出せるようになることを目的としました。 弊所が行う外為法などの研修では、正確に、間違いなく説明することに意識が向きがちです。もちろん、その意識は欠かせません。ただ、せっかく用意した内容も、当日の説明が聞き取りにくければ、十分に伝わらなくなってしまいます。特に、法律や技術の話には、普段の会話では使わない言葉が数多く登場します。話す側にはおなじみの用語でも、受講者の方にとっては、その日に初めて耳にする言葉かもしれません。 さらに、許認可や法令の説明では、原則を説明した後に例外が続いたり、その例外に条件が付いたりします。すべてを同じ調子で一気に話してしまうと、聞いている側は、何が大事で、どこから話が切り替わったのかを追いかけるだけで大変です。 声の出し方、話す速さ、言葉の区切り、強調する箇所、そして間の取り方。こうした話し方も、受講者の方に内容を理解して頂くための大切な要素です。 実際の声のお仕事をされている駒東先生の指導内容はたいへんわかりやすく、職員一人ひとりの話し方の癖を見ながら、「◯◯さんは声が一定」「◯◯さんは語尾が上がってしまっている」などと教えていただけました。我々職員自身は気づいていなかった癖を教えて頂き、さらに対策として「改善するためにはエッジボイスを練習すると良い」「息を30秒吐き続ける練習をしたほうが良い」と一人ひとりに合わせた対策法までその場で指導していただき、プロはすごいなあと実感しました。 また、駒東先生の声は、ただ大声というわけではないのに、よく通る声をしていて、こういう声や話し方が人に良く伝わる声や話し方なんだと実感することができました。ここもプロのすごさをわかりやすく感じた点です。弊所の人見は「駒東先生の声が目の前にいる人から出ているとは思えない音圧で圧倒されました…」と講習が終わった後もしみじみ言っていました。 今回ご指導頂いたことを今後のセミナーや日々のご説明に活かし、専門的な内容を、より聞き取りやすく、理解しやすい形でお伝えできるよう努めてまいります。 駒東先生、このたびはお忙しい中ご指導頂き、ありがとうございました! 以下は駒東先生による動画です。

  • JAMSTEC士業見学会を開催しました

    2026年8月21日、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の横須賀本部にて、士業向け見学会を特別に開催していただきました。 川村プロジェクト長によるレアアースについてのご講義をはじめ、海洋科学技術館、海底広域研究船「かいめい」、潜水調査船・無人探査機の整備場まで、大変充実した内容をご用意いただきました。 今回は弊所の全若手職員だけでなく、日頃より交流のある渋谷士業勉強会(SISIB)の先生方にもお声がけし、行政書士、公認会計士、社会保険労務士、税理士、弁護士(五十音順)といった異なる士業の先生方と、総勢15名で参加させていただきました。 JAMSTECと弊所の関係について JAMSTECは、有人潜水調査船「しんかい6500」などを用いた深海調査をはじめ、海洋や地球についての研究開発を行う国の研究機関です。 弊所もその活動を応援しており、これまでに賛助会セミナーの講師を務めたり、海洋地球研究船「みらい」の退役記念見学会に参加させていただいたり、研修旅行に参加させて頂いたりと、色々なご縁をいただいてきました。 そして、弊所では日々、輸出管理に関する該非判定の業務に携わっておりますが、海洋調査に用いられる機器を実際に目の前で見る機会は決して多くありません。そのため、職員の教育も兼ねて実機を見学させていただけないかとお願いしたことが、今回の見学会のきっかけでした。 調整にあたっては、ぜひ調査船も乗船見学したいという弊所の希望を受け、入港予定に合わせて何度も日程をご検討いただきました。また、講義についても、参加者が聞いてみたいことを事前にお伝えし、その関心に沿ってご準備いただきました。こちらの様々なお願いに丁寧にお付き合いいただき、心より感謝しております。 プロジェクト長によるレアアースのご講義 講義では川村プロジェクト長から、南鳥島周辺の海底に存在するレアアース泥と、その採鉱に向けた取組についてお話を伺いました。事前に他士業の先生方から集まった質問も、資源戦略、実用化に向けた課題、採算性、環境への影響など多岐にわたり、それぞれの専門分野による関心の違いも感じられました。 また、地球深部探査船「ちきゅう」でレアアース泥を引き上げる仕組みに、石油掘削などで用いられるライザーの技術が活かされていることも興味深く伺いました。深海から泥を採るという難しい目標に対して、既に蓄積されている技術をどう応用するか。装置そのものに加え、目的を実現するための考え方まで学べるお話でした。 レアアース泥の実物も拝見できました。 海洋科学技術館の見学 海洋科学技術館では、「しんかい6500」の実物大模型や深海生物に関する展示などを見学させて頂きました。潜水船の中に人が入り、深海で調査する様子を具体的にイメージできる展示は、機器の仕様を読むときとはまた違った面白さがあります。また、海洋科学技術館においてもプロジェクト長によるご説明を頂けて、非常に贅沢な時間を過ごすことができました。 こちらは深海魚のヨコヅナイワシ。他士業の先生が「何人前になるんだろう」とおしゃっていましたが、JAMSTECの方曰く、深海生物はアンモニア臭がきついので食用には向かないそうです。 普段の仕事では、どうしても装置の構造や性能に目が向きがちですが、深海にはどのような生物がいて、何を調べるためにその装置が必要なのかという研究の側から見ると、同じ機器への理解も広がるように思いました。 ちなみに、弊所職員で獣医の吉田先生が、深海でUMAを見たことがないかJAMSTECの方に質問されていておもしろかったです。(見たことないそうです) 海底広域研究船「かいめい」乗船見学 続いて、海底広域研究船「かいめい」に乗船し見学させていただきました。 椅子と机の脚がキャスターではなかったり、船内に研究室やドラフトチャンバーがあったり、研究室ごとに照明等が異なっていたりと、研究船ならではの特徴に色々と驚かされました。 なかでも弊所の職員が特に興味を示したのが、曳航ハイドロホンアレーです。水中の音を捉えるハイドロホンを並べ、船で曳きながら調査に使う機器です。 弊所では輸出管理の仕事を通じてなじみのある名前ですが、実物を間近で見られることは滅多にないため、弊所職員だけが盛り上がりました。 巻かれて収納されている曳航ハイドロホンアレー 海洋調査などで地殻構造を探査するために使われるエアガン(空気銃)。 高圧の空気を一瞬で水中に放出して強力な音波を発生させます。 海水の水温・塩分・深さ(圧力)などを測定するセンサーと採水器が一体となった海洋観測機器「CTD採水システム」です。円形のフレーム(ロゼット・サンプラー)の周囲にニスキンボトルと呼ばれる円筒状の採水器が多数並べられており、海中深く降下させて各深度のデータを連続測定しつつ、任意の深さで海水を採取できます。 写真や仕様書で知っているつもりでも、実物を前にすると大きさの感覚が変わります。海底を調べるために、これだけの設備が船に載っているのだと実感しました。 潜水調査船整備場と無人探査機整備場へ 潜水調査船・無人探査機の整備場では、探査機や搭載機器を間近で拝見しました。こちらは実際の調査線とROVを整備中のため、ほとんどの場所が撮影禁止でしたので、表札しかお見せできません。 弊所として大変拝見したかったのが、マニピュレータ、つまり水中で作業を行うためのロボットアームです。「潜水艇の遠隔操作マニピュレータ」であって、動作自由度(関節数)が5以上のものは、外為法による輸出規制対象となるため、どこが関節で、どの方向に動くのかを、実物を前に勉強させて頂きました。一緒に参加された先生方からは「大沢先生、ずっと関節なんか数えている」という声も聞こえてきましたが、職業病です。 しんかい6500は、撮影可能でした。 しんかい6500を前にして、関節の数ばかり数えているのは少数派かもしれません。 右の写真は私(大沢)がロボットアームの関節について他士業の先生方に説明しているところです。 しんかい6500のコクピットの狭さを体感する弊所職員たち 見学を終えて 今回のJAMSTEC士業見学会にご参加頂いた先生方には非常に喜んで頂けました。弊所職員にとっての学びの機会が、ご一緒した先生方に海洋研究の魅力を知っていただくきっかけにもつながったことを、大変嬉しく思っております。 川村プロジェクト長やカウンターパートの永橋様をはじめ、ご案内・ご説明くださった職員の皆様には、改めて心より御礼申し上げます。今回得た実機への理解を日々の業務と所内教育に活かしながら、今後もJAMSTECの研究活動を応援してまいります。

  • 弊所職員の腕時計事情

    お世話になります。行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。 就活生/求職者の方から、「腕時計は必要ですか?」と聞かれることがたまにありますので、本日は弊所への就職をお考えの方に向けて、腕時計についてのリクルートコラムを書きます。 そしていきなり結論ですが、弊所で働く際に腕時計は特に必須ではありません。基本的には貸与PCを開いてお仕事をしますから、時間が気になれば画面の右下を見て下さい。 特にこだわりがなければ、高級腕時計を無理して買う必要はありません。弊所で働く上で必要で、自腹で揃えないといけないものは、シャツ/ブラウス、ネクタイ、あとはスーツに合う靴くらいのものです(スーツ自体は貸与制度があります)。 ちなみに、弊所の若手職員(常勤・非常勤)たちに確認すると、腕時計の使用については以下のとおりでした。 ほぼ毎日、腕時計を着用する…2名 腕時計を着用することは全くない/ほとんど着用しない…4名 動かない腕時計をブレスレット感覚で着用することがある…1名 ネットで軽く調べたところ、週4日以上腕時計を着用する人は日本人の約半数で、腕時計をそもそも1つも持っていない人が3割超ということでしたから、それに比べれば弊所はさらに低い着用率といえるかもしれません。ほぼ毎日着用している2人は、1人がデジタル式で、もう1人はスマートウォッチでした。 ちなみに私が特に気になったのは「動かない腕時計をブレスレット感覚で着用することがある」という1名です。かの有名な芸術家、アンディー・ウォーホルも腕時計を何百個もコレクションしておきながら、あくまでも装飾品として捉えており、時間をあわせたことはなかったと言いますから、当該職員は芸術家肌の相当な変わり者といえるでしょう。 腕時計をあまり着用しないという職員たちにその理由を尋ねたところ、「時間はスマホで見るから」という意見で一致していました。スマホは電池が切れたら時間がわからなくなるというデメリットもありますが、それでもスマホで現在時刻を見るのはそういう習慣が根付いているのかなと思いました。つまり、20代の職員にとってスマホは電話機が進化した連絡ツールというより、現在地も現在時刻も外国語も料理のレシピも、知らないことを全て教えてくれる知識提供ツールとして受け入れられているのかもしれません。考えすぎかもしれません。 なお、私(大沢)も腕時計をほとんど着用しませんでした。時間を見るときは腕時計の方がしっくり来るのですが、腕時計を着用するという行為で、自分が時間に縛られている不自由な存在であると殊更に意識してしまうのが嫌なのです。考えすぎかもしれません。 しかし、そんな私も先週、腕時計を購入しました。非常に長い名前ですが、Seiko Prospex Marinemaster 1968 Heritage Diver's Watch JAMSTEC Limited Edition(クリックするとSEIKOの紹介ページにジャンプします)というものです。 こちらは、弊所が仲良くさせて頂いている国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)とSEIKOのコラボ腕時計で、国内250本限定の希少な一本です。 腕時計にまったく明るくなく、フランク・ミュラーとフランク三浦の見分けくらいしかつかない私でも釘付けになる美しい文字盤に一目惚れして購入しましたが、外見だけでなくこれまでのJAMSTECとの深い関係もあり、私にとっては非常に強い思いが込もった愛機となりました。一生愛用していくことになると確信しています。 JAMSTECの方々にも自慢しました さて、最後にどうしても紹介しておきたいのが技術職員Kのこちらの腕時計です。 あまりにも見慣れない文字盤だったので戸惑いながら、「スマートウォッチ?」と聞くと「違います!現在時刻しかわからないです!」といわれたのですが、私には現在時刻もわかりません。 するとKは、「IT IS HALF PAST FIVEって書いてるじゃないですか。なので多分5時半頃です。更に、四隅に白い輝点が4つ光ってるので、5時34分です」と説明してくれました。え?難しすぎません?? 「急いでるときもすぐ読めるの?」と聞くと、「急いでるときはスマホで時間見ますよ。当たり前じゃないですか。僕英語わからないですし、DeepLに聞かないといけないんで」と当然のように答えられました。なんだこいつ。

  • 砂でコーヒーを沸かす機械を輸入してみた☕ ~③ 自主検査~

    お世話になっております。行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。 本記事は過去のコラム記事、「①PSEの該当性確認」、「②PSEの基準適合確認」の続きとして、「③PSEの自主検査」の手順を職員向けの所内教育として説明し、リクルートコラムにて紹介するものです。 こちらのトルココーヒー用サンドヒーターを輸入してみました 前回のコラム(②PSEの基準適合確認)では、電気用品安全法8条1項で、「電気用品を輸入する場合は、経済産業省令で定める技術基準に適合する必要がある」と書かれているため、輸入するトルココーヒー用サンドヒーターが、技術基準に適合しているかを検査/試験しました。 今回の自主検査は、前回とは異なり電気用品安全法8条2項に基づく検査となります。 青色部が電気用品安全法8条2項 雑にまとめると、8条1項検査(基準適合確認)は、電気用品が技術基準に適合しているかを確認するもので、一度きりの破壊検査です。しかし、8条2項検査(自主検査)は製造/輸入する全品に対して行う、非破壊の全数検査です。 そして、8条1項検査の詳細も8条2項検査の詳細も、「経済産業省令で定める」とされていますが、8条1項検査の詳細を定める経済産業省令は前回のコラム②でご紹介した通り、「電気用品の技術上の基準を定める省令」です。 それに対して、8条2項検査の詳細を定める経済産業省令は、「電気用品安全法施行規則」です。8条1項と2項で別の省令を見なければならず、しかも2項の方は題名に省令とすら書かれていない(施行規則)。これは法令を普段読み慣れていない人には少しややこしいポイントかも知れません。 電気用品安全法施行規則第11条 電気用品安全法施行規則第11条2項には、検査記録簿の法定記載事項が定められています。また、同3項には検査記録簿の保管期間が定められています。検査の詳細は別表第三に飛ばされています。 別表第三(◇PSEの自主検査について説明している箇所) 別表第三(◯PSEの自主検査について説明している箇所) 今回のトルココーヒー用サンドヒーターは、◯PSE製品の電熱器具であるという想定で実習しておりますので、別表第三の「2 令別表第2に掲げる電気用品について行う検査」に従い、外観、絶縁耐力、通電について"一品ごとに"(つまり全数)検査する、ということになります。 外観、通電は名前からどんな試験かなんとなくわかる気がしますが、絶縁耐力試験は初めて聞く方にとっては想像しにくいと思います。絶縁耐力試験は、落雷が電線や通信線を伝わって家の中に流れ込み、一瞬だけ極めて高い電圧がコンセントを通じて電気製品に流れ込んでも、電気製品の絶縁体が破壊されないか、確認するための試験です。そのため、絶縁耐力試験では機器に数千ボルトの高電圧を数秒間~1分間程度流して、漏電しないか等をチェックします。 何ボルトを何秒流すのかは、技術基準で定められており、試験対象となる電気用品の仕様により異なります。 絶縁耐力試験機という専用の設備で、1,500Vほどの電圧をかけて、漏電量を調べています。 弊所では全数検査を数千台同時に受任することがあるので、絶縁耐力試験機を5台保有して、同時に試験を行えるようにしています。ちなみに絶縁耐力試験機は通販サイトでも購入できます。 大量の充電器を全数検査しているところ 通電検査はクランプで、外観検査は目視で行っています。 以上の全数検査が終われば、法定記載事項を満たした全数検査記録簿を作成して、数日間に及んだ実習が終了となりました。 実務ではテストレポートや全数検査記録簿のリーガルチェックを毎日のように行っていますが、実際に自ら試験して、一からテストレポートや全数検査記録簿を作成することで、日々のリーガルチェックもより安心して行えるようになるものと思います。

  • 砂でコーヒーを沸かす機械を輸入してみた☕ ~② 基準適合確認~

    お世話になっております。行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。 本記事は、こちらのコラムの続きとなります。 こちらのトルココーヒー用サンドヒーターを輸入してみました 前回のコラムでは、輸入したトルココーヒー用のサンドヒーターが、電気用品安全法施行令別表第二第七号の (一六)電気こんろ、 (二七)電気コーヒー沸器、 (三一)その他の調理用電熱器具 のいずれかに該当するものだろう、という想定で終わりました。 さて、今回はこちらのサンドヒーターに対して電安法8条1項の検査を行います。なぜ検査を行わないといけないかというと、下図に示す通り、電気用品安全法8条1項で、「電気用品を輸入する場合は、経済産業省令で定める技術基準に適合する必要がある」と書かれています。 (前回のコラムの復習ですが、「電気用品」とは、「電気用品安全法(PSE)の対象となる電気製品」のことです。今回のトルココーヒー用サンドヒーターは、「PSE対象外の電気製品」ではなく、「◯PSEの対象となる電気用品」だったと想定して、所内教育を行っています) そのため、輸入するトルココーヒー用サンドヒーターが、技術基準に適合しているかを検査/試験する必要があるということです。この検査/試験を、基準適合確認ともいいます。 青色部が電気用品安全法8条1項 なお、除外規定で「一 例外的に承認を受けたとき」、「二 試験的に製造し、又は輸入するとき」と書かれていますので、実務ではこれらの除外規定を利用できないかも要確認です。今回は検査/試験方法の所内教育なので、除外規定は利用しません。 技術基準はどこに? さて、電気用品は経済産業省令で定める技術基準に適合する必要があるということで、その経済産業省令を探さないといけません。 こちらは「電気用品の技術上の基準を定める省令」というそのままの題名の省令があります。ただ、法律の本文にはどこにもこの省令の題名はでてきませんので、やはり少しは自分で探しにいく必要があります。 一番下の行の第一条に、「この省令が、法8条1項の技術基準を定める省令だよ!」と書いてありますね しかし、この省令を少し読むと「ムムッ!」と驚くかも知れません。なぜなら、具体的なことがちっとも書かれていないのです。 第二条から第六条まで、とにかく「安全に!」「適切に!」としか書いていません。 ということで、この「安全に」とか「適切に」といった具体的な内容がわからないので、経産省の通達「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について」を確認します。 めちゃくちゃ改正されている。多い時は年4回も。 今回のトルココーヒー用サンドヒーターは、電気用品安全法施行令別表第二第七号の (一六)電気こんろ、 (二七)電気コーヒー沸器、 (三一)その他の調理用電熱器具、 のいずれかに該当するか不明ですが、いずれであっても別表第二の第七号に該当することは変わらないわけです(そもそもPSE対象外製品ではないという想定です)。 そして、別表第二の第七号に該当する交流用電気機械器具の場合は、「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について」の別表第八に、細かい技術基準の解釈が書かれています。 例えば上記は材料についての解釈ですが、「電気用品の技術上の基準を定める省令」では、材料について以下のような記載があるのみでした。 第六条 電気用品には、当該電気用品に通常想定される使用環境に応じた適切な耐熱性、絶縁性等を有する部品及び材料が使用されるものとする。 第九条 電気用品には、発火によって人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように、発火する温度に達しない構造の採用、難燃性の部品及び材料の使用その他の措置が講じられるものとする。 しかし、「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について」の別表第八では、上図のように、具体的にどのような物質を使ってはいけないかなどが記載されているのです。ということで、検査/試験の実務では「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について」を第一に参照することになります。 別表第八は、以下のURLから確認できますが、全部で291ページもあります。別表第八に基づき検査を行う場合は、これらをすべて理解する必要があります(除外規定が使える場合など、すべての検査/試験をやらずに済むことも多いとはいえ、除外規定適用可否の検討自体はしっかり行う必要があります)。 https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/honbun_260601.pdf ちなみに、外国製の電気製品を輸入する場合は、海外メーカーにおいてこれらの試験や、類似する検査を既に行っていることがあります。日本基準で検査がされていれば都合が良いのですが、海外基準の検査しかされていない場合であっても、日本基準に読み替えができることがありますので、まずは試験/検査結果(テストレポート)をメーカーから取り寄せることが大事です。その上で、テストレポートが日本法でも問題ないかリーガルチェックを行いたいところです。 ということで、テストレポートを求めてみました。 弊所「CBレポートや、IEC基準のテストレポートはありませんか?」 先方「トルコ国内専売品なので、ありません」 弊所「了解です。トルコの国内法への適合性を示す資料で良いから欲しいなあ」 先方「トルコ国内専売品なので、何もありません」 ダメでした。 先方からの回答。「テストレポートなんかないよっ」 「トルコはEUと関税同盟を結んでいて、CE制度が適用されているので、トルコ製品もテストレポートくらいないとダメなんじゃない…?」と思いましたが、よそはよそ、他国は他国です。 こういう風にテストレポートが手に入らない場合でも、いくつか取れる選択肢はありますが、輸入者側で試験/検査をしてしまうのも一つの手段です。 今回は弊所の若手職員向けの試験/検査実務の教育であるため、実際に弊所ラボで試験を行います。 技術基準に適合しているか検査します(Safety) ここからは写真が多めになりますが、検査/試験の様子をご紹介します。 本コラム記事の安全試験はすべて弊所ラボで行いました。 ラボにオリエンタルな空気が漂った気がします。 こちらは転倒角度測定の様子です。10度、15度と傾斜させても転倒しないことを確認します。ちなみに試買調査結果では、9度傾斜させたときに転倒した商品が、違反事例として紹介されたこともあります(実際に国内で販売されていた商品のため、ここで紹介することは控えます)。 こちらは衝撃試験の様子です。試験機で強い衝撃を与えて、異状が生じないか確認します。 人間の指を模した金属製の試験用プローブ(試験指といいます)で、製品の開口部から危険な充電部や可動部に指が接触して感電・怪我をしないかを確認している様子です。 分解して内部配線を確認し、内部配線に2N の力を加えても高温部や可動部に接触するおそれがないか等を確認しています。 家庭用の100Vコンセントは、常に100Vが来ているわけではありません。電気事業法施行規則第33条では、電力会社が電気を供給する変動幅について、標準電圧に対し維持すべき電圧が明示されています。「一般送配電事業者は、定格100Vのコンセントであれば、実効値95V~107Vの電気を供給するよう努めなさい」と電気事業法(及び施行規則)で定められているのです。(上左図) そして、電気用品安全法(及び技術基準)では、「電気用品の輸入者は、定格100Vの機器なら、90V~110Vに電圧が変動しても、支障なく運転できることを確認しなさい」と定められているのです(上中図)。 よって、弊所ラボでは、定格の±10%の電圧を出して、それでも問題なく動くかを確認しました(上右図)。 残留電圧試験。コンセントからプラグを抜いたあと、すぐにプラグを触っても感電しないか試験しています。 500ボルト絶縁抵抗計により、充電部と人が触れるおそれのある器体の外面との間の絶縁抵抗を測定しています。 平常温度上昇試験や、異常温度上昇試験など、電熱器具として重要な試験も行います。 今回は電気用品名(PSE上の製品分類)が、「電気こんろ」、「電気コーヒー沸器」、「その他の調理用電熱器具」のどれになるか不明という想定でしたが、このどれに分類されるかにより、試験内容も異なってきます。 仮に今回のトルココーヒー用サンドヒーターが「電気こんろ」として扱われるなら、熱衝撃試験(1時間通電し、容器を取り除いた直後、熱板に室温付近の水を約2Lかける)や、落下衝撃試験(熱板上に厚さ3mmの鋼製円板を置き、その上へ鋼製の落下体を高さ40mmから毎分約20回、合計100回落とす)などが必要となります。 これらの試験は、「電気コーヒー沸器」や「その他の調理用電熱器具」の場合は不要です。同様に、「電気コーヒー沸器」や「その他の調理用電熱器具」に分類された場合にだけ必要となる試験もあります。 そのため、PSE試験をするためには、そもそも電気用品名はなにか(PSE上の分類はなにか)が重要となるのです。前回のコラムでは丸々一本使って、どのような電気用品名になるのかを慎重に検討していく過程をお見せした理由は、まさにその工程が、検査/試験でも重要となるからです。 技術基準に適合しているか検査します(EMC) これまでにご紹介した検査/試験は、「感電しないか?」「怪我しないか?」「火災を起こさないか?」など、安全性に関する内容(安全試験、Safety試験)でした。 それに対して、技術基準省令では以下のように、電磁的妨害による耐性や、雑音の強さについても規定されています。 ここでいう雑音とは、耳で聞く音のことではなく、電子機器の動作や通信に悪影響を与える不要な電磁波(電磁ノイズ)のことです。 つまり、省令17条では、周囲の製品の電磁ノイズを受けて誤作動を起こさないこと(EMS)を、18条では反対に、自分が電磁ノイズを周囲に撒き散らさないこと(EMI)を要求しています。 これら、電磁的妨害に対する耐性(EMS)や電磁妨害(EMI)に関する試験をまとめて、EMC試験と呼びます。 EMC試験の細かい条件などの解釈は、別表第八ではなく別表第十を確認します※。こちらも118ページからなる大作PDFです。 ※ 今回は従来の試験方法を学ぶため、経過措置が認められている改正前の別表第十に基づいて試験しました。改正前の別表第十を使用できるのは2028年8月30日までであり、それ以降は別表第十二に基づく試験が必要となります。 ただ問題は、EMC試験はSafety試験と異なり、EMIシールドルームや電波暗室などの、特別な試験室が必要となることです。自分が電磁ノイズを周囲に撒き散らしていないか確認するためには、電磁的に遮蔽されて余計な電磁波が存在しない場所で試験する必要があります。そうでないと、身の回りに飛び交う様々な電磁波のせいで正しく測定できません。 しかし、EMIシールドルームも電波暗室も、弊所ラボには存在しません。本当に高いので。小さめの電波暗室ですら、一部屋作ろうとしたら数千万円~数億円します。そのため、弊所はSafety試験は弊所ラボで行い、EMC試験はEMIシールドルームや電波暗室をお持ちの顧問先企業様の設備や、研究所の施設をお借りして行っています。 今回は10年ほどのお付き合いがある研究所のEMIシールド室をお借りしました。 機材を積んだ社用車で横付けして、自分たちで搬入します。今回は小さめの乗用車で済みましたが、コインランドリーのような大型の製品の場合はトラックで横付けして、ハンドリフターで搬入します。 左:EMC試験の実習教育を受けている弊所の若手職員。 右:EMIシールドルームの扉。電磁波を遮蔽するために分厚い。 ベテラン職員から教わりつつ、EMC試験の結果を見て技術基準に適合しているか判断します。 雑音端子電圧試験。電子機器の電源ケーブルや通信ケーブルなどを通じて外部へ伝わる30MHz以下の電磁波ノイズ(伝導ノイズ)を測定しています。左上図に写っている2台の装置は、擬似電源回路網(LISN)という測定器で、雑音端子電圧を測定しています。めちゃくちゃ高い装置で、短期間レンタルするだけで何十万円もします。 雑音電力測定。電源線を伝導しながら、空間に放射される30MHz~300MHzのノイズの電力(妨害波電力)を評価します。機器の配置もすべて図のように決められています。 ということで、これらの試験結果をすべてまとめたテストレポートを作成し(100ページを超えます!)、法8条1項検査の教育は一段落となりました。次回は8条2項検査の教育をご紹介します。

  • 砂でコーヒーを沸かす機械を輸入してみた☕ ~① PSEの該当性検討~

    お世話になっております。行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。 コーヒーを淹れる器具といえば、ドリッパー、エスプレッソマシン、フレンチプレス、パーコレーターあたりが思い浮かびます。ところがトルコには、熱々の砂の中へ小さな金属製のポットを差し込み、ゆっくりコーヒーを煮出す方法があります。YouTubeで見たことがある人もいるかも知れません。 映像で見ると、砂の上から泡がふくらみ、沸騰する直前にポットを引き上げる様子がいかにも異国的です。 ということで今回は、この砂を温めるための電気製品を輸入して、PSEの試験をしてみました。要するに金属製の槽に砂を入れ、その下のヒーターで加熱する機械です。 今回輸入した実機。これを弊所ラボで試験します。 見た目は、装飾の入った小さな箱です。上部に砂を入れる槽があり、側面には機械式の温度調節つまみがあります。(おっちょこちょいの私が砂を盛大にこぼしてしまったので、上の写真ではかなり量が少なくなっています。) 輸入してまず一番に弊所の教育本部で使ってみようとしましたが、日本の家庭用コンセントでは電圧が足りずに、まともに動きませんでした。この製品はトルコの仕様にあわせて220Vで製造されていますが、日本は100Vのため、一応動かそうと試してみたものの、パワーが足りずに砂は全く温まりません。 不良品というわけではなく、ただ電圧が足りないだけだろうと思い、弊所ラボへ持ち込み、変圧器を通して220Vまで昇圧した電気につなぐと、無事に稼働してお湯を沸かすことができました。 ただし、まだ「製品が動いた」というだけで、安全性が担保されたわけではありません。そのため、今回は電気用品安全法(PSE)の試験を行ってみます。※ ※ 今回は所内教育目的で、実際にPSEの試験を行ってみましたが、電気用品安全法は原則として製造・輸入・販売等を行う事業者を規制するものですので、自己使用目的で個人的に輸入する場合は、PSE対応は不要です。そのため、読者の皆様が個人的にトルコ旅行をして、気に入ったサンドヒーターをお土産として買って帰って、自宅で(必要に応じて)昇圧して使う場合は、原則として電気用品安全法の規制は受けません。もちろん、安全性については自己責任となります。 そもそもこのサンドヒーターはPSEの対象か? PSE対応を検討する際に、まず最初に確認すべきことは、当該電気製品がPSEの対象製品に該当するのかを判断することです。電気製品の中でも、PSEの対象となるものを電気用品といいます。 また、電気用品に該当する場合は、その中でも◇PSE(特定電気用品)と◯PSE(特定電気用品以外の電気用品)のどちらに分類されるのかを確認します。 (◇PSEは「構造又は使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い電気用品」が指定されています)。 PSE対象外だった場合は、PSEの試験は不要となります。◇PSEだった場合は、JETやTUV、CQCなどの登録検査機関による検査が必要となります。◯PSEだった場合は、登録検査機関による検査は不要ですが、自主検査が必要となります。 そのため、まずは輸入した製品が電気用品安全法の対象である電気用品なのか(その場合は◇PSEと◯PSEのどちらになるのか)、あるいはPSE対象外となるのかを検討する必要があります。 電気用品の定義は、電気用品安全法の2条1項にあります(下図の青色部)。 電気用品安全法2条。青色部が1項で、非青色部が2項。 電気用品安全法の2条1項本文には、「以下の一号から三号のどれかに当てはまるものが、PSE対象の「電気用品」ですよ」と書かれています。なお、一号から三号とは、青色部の漢数字で「一」「二」「三」と列挙されているところです。 要するに 一号には「一般用電気工作物に接続して用いられる機械等であって、政令で定めるもの」、 二号には「携帯発電機であって、政令で定めるもの」、 三号には「蓄電池であって、政令で定めるもの」、 と書かれています。 今回のサンドヒーターは、発電機でも電池でもないので、二号と三号は関係ありません。 しかし、ややこしい書きぶりの一号は要注意です。一号には「一般用電気工作物」という語がでてきますが、「一般用電気工作物」の身近な例は、家庭用のコンセントです。つまり、「家庭用のコンセントに接続して用いられる機械等であって、政令で定めるもの」は、PSE対象の電気用品となります。 今回のサンドヒーターは家庭用のコンセントに接続して用いられる機械なので、後半の条件の「政令で定めるもの」かどうかを検討することになります。 そして、ここでいう政令とは、「電気用品安全法施行令」のことです。題名には「政令」と直接書かれていませんし、電気用品安全法の本文には政令の題名(電気用品安全法施行令)は出てこないので、法令を読み慣れていない人にとっては理解しにくいかも知れません。 その「政令」の1条と2条を読むと「電気用品安全法施行令の別表第一の上欄に掲げるものが◇PSE」、「電気用品安全法施行令の別表第二に掲げるものが◯PSE」と書かれています。 電気用品安全法施行令の1条と2条 ということで、まず別表第一(◇PSE)の方から見ていきましょう。 別表第一。左側が上欄で、右側が下欄。法令は縦書きなので、元は上下にわかれた表なのです。 上の図が別表第一の冒頭部です。上の図の内容がすべてではなく、116品目(本記事公開時点)が指定されています。中には、先程ノートPCの例であげた充電器から、アイスクリームメーカーといった楽しげな装置まで、様々なものが含まれています。 青色部の直流電源装置には、PCやスマホの充電器なども該当します。 アイスクリームフリーザーや、アイス用ショーケースといった楽しげな商品も◇PSEの対象です。 しかし、別表第一(◇PSE)にトルココーヒー用のサンドヒーターらしきものは列挙されていません。ということで、本件製品は◇PSEの対象ではありません。 続いて、別表第二(◯PSE)も見てみます。こちらには341品目(本記事執筆時点)が列挙されています。 別表第二(◯PSE)七号(電熱器具) 別表第二を順に見ていくと、電気トースターや電気魚焼き器など、少し属性の近い製品群が列挙されているのを見つけられます。製品の形状としては(一〇)の「電気火鉢」に似ていますが、ここでは採暖用の電気火鉢が規制されているものの、調理用の電気火鉢は規制されていません。ここは法令用語の基礎的な知識が必要となる箇所です。 仮に、「電気火鉢その他採暖用電熱器具」と書かれていれば、「電気火鉢」と「採暖用電熱器具」が並列に示されていて、「採暖用」であるかを問わず「電気火鉢」が独立して指定されていると読みます。しかし、今回は「電気火鉢その他"の"採暖用電熱器具」と書かれています。 「その他」ではなく「その他"の"」と書かれている場合は、採暖用電熱器具を指定しており、電気火鉢はその例示に過ぎない、という読み方をします。「の」一文字の有無で、意味が大きく変わってしまうのです。法令にはこういう落とし穴がときどきありますので、普段法令を読み慣れない人は、注意が必要です。 ということで、今回のトルココーヒー用サンドヒーターは調理用ではなく採暖用ではないので、「電気火鉢」と見た目や原理が一緒でも、こちらには該当しません。 さらに読み進めていくと(二七)に、さらに関係が深そうな「電気コーヒー沸器」という言葉がでてきました。 おそらく法令を読み慣れていない方や、PSEに詳しくない方は、(二七)の電気コーヒー沸器という文言をみると「これだ!」と飛びついてしまうのではないでしょうか。しかし、私はまだ断定できません。他にも(一六)電気こんろ、(二五)電気保温盆、(二六)電気加温台、(二九)電気湯せん器、(三一)その他の調理用電熱器具についても、候補として検討すべきであると思います。 まず、(二五)の電気保温盆や(二六)の電気加温台について気になった理由は、コーヒーの入った小鍋(ジェズヴェ)ごと保温、加温できるからです。そのため、法令の電気加温台などの範囲はどこまでなのか、経産省の解釈を知る必要があります。 これについては、「電気用品の範囲等の解釈について 平成24・03・21商局第1号」という経産省の通達を読みます。一般的には、「範囲等解釈」と略して呼ばれています。 この範囲等解釈に、電気加温台と電気保温盆の解釈がかかれています。 ということで、今回のトルココーヒー用サンドヒーターは、発熱体が組み込まれた器体を有し、当該器体の上に飲食物の入った食器を載せ、当該飲食物を加温・保温できる電熱器具なので、電気保温盆や電気加温台になりそうなところ、但し書の「当該発熱体が飲食物を沸騰させることができる熱容量を有するときは、この限りではない」という要件にひっかかるため、電気保温盆や電気加温台ではない、と判断できます。 このように、細かい解釈があるため、「これはトルココーヒー用のサンドヒーターなんだから電気コーヒー沸器でしょ!」と名前だけで判断することは難しいのです。 特に今回の製品は、砂を熱媒体として、砂の上に置いた容器を加熱するだけの製品であり、電気製品本体が直接コーヒーを収容・抽出する構造ではありません。また、コーヒー以外の飲料や食品も物理的には加熱できます。よって、安易に「電気コーヒー沸器」とは断定しにくいのです。 「では、範囲等解釈で電気コーヒー沸器の解釈を見ればいいじゃないか」というと、そうはいきません。なぜなら、範囲等解釈には電気コーヒー沸器の解釈が掲載されていないのです。範囲等解釈にはすべての電気用品の解釈が書かれているわけではないのです。 今回の製品は、加熱の原理的には(二九)電気湯せん器に近いのですが、範囲等解釈を見ると「電気湯せん器とは、発熱体が組み込まれた器を有し、当該器に入れた湯を介して調理対象物を加温又は保温する電熱器具をいう。」とされています。「湯を介して」と明確に書かれている以上、「砂を介した場合もこれでいいでしょ!」と安易に類推解釈はできません。 ということで、残る候補は(二七)電気コーヒー沸器以外に、(一六)電気こんろ、(三一)その他の調理用電熱器具です。 (一六)の電気こんろは意外な候補かも知れません。しかし、範囲等解釈で電気こんろの解釈をみると、以下のように説明されています。 確かに、今回の製品はコーヒーを沸かすための製品で、煮焼きをするものではありません。 この解釈では「焼く、煮る等の調理を行う電熱器具」ではなく、「焼く、煮る等の調理を行うことができる熱容量をもつ電熱器具」と説明されています。そして、今回の製品は、実際に煮炊きができる程度の熱容量を持っています。 「こんろ」というには少し奇妙ですが、発熱体 → 砂 → ジェズヴェ(小鍋)→ コーヒーと熱を伝導するだけで、器具本体の役割は、鍋を加熱する熱源です。こんろの五徳の代わりに砂と砂槽があるということです。 この砂と砂槽が解釈にある「なべ等を置くことのできる台」に該当するか否かによって、今回の製品が電気こんろに該当するか否かが決まるといえるのではないでしょうか。 そして、もし当局が、「砂と砂槽を介する構造は、範囲等解釈にいう電気こんろの発熱体・熱板・なべ受けの構造から外れる」と判断した場合は、(二七)電気コーヒー沸器以外に、(三一)その他の調理用電熱器具が候補になります。 (三一)は、「その他の」とあるように、(二七)電気コーヒー沸器や(一六)電気こんろなど、他のすべてに該当しない場合に、今回の製品が該当すると思われる項番です。 ということで、現在までの話をまとめると、以下のようになります。 (一〇)電気火鉢 … 見た目は似ているが、採暖用でないので非該当。 (二九)電気湯せん器 … 原理は似ているが、熱媒体が湯に限定されているので非該当。 (二五)電気保温盆 … 保温できるが、飲食物を沸騰させることができるので非該当。 (二六)電気加温台 … 加温できるが、飲食物を沸騰させることができるので非該当。 (二七)電気コーヒー沸器 … 解釈が明示されていないため不明。要照会。 (一六)電気こんろ … 砂と砂槽が「なべ等を置く置くことのできる台」になるか次第。 (三一)その他の調理用電熱器具 … 上記2品に該当しない場合、ここに該当すると思われるが、これも解釈が明示されていないため、要照会。万が一、ここにも該当しなければPSE対象外。 「電気コーヒー沸器なのか、電気こんろなのかって、どっちでもよくない?どうせどっちも◯PSEの対象なんでしょ?」と思うかも知れませんが、ここの製品名が違えば、届出内容や試験内容が変わることがありますので、電気用品名をはっきりさせる必要があります。 そのため、実務であれば、本件製品の構造や原理等を当局の担当官に説明して、(二七)電気コーヒー沸器や(一六)電気こんろに該当するかを照会することになります。 ただ、今回はあくまで所内教育及びリクルートコラム用に調達した製品であり、実際の案件でもないのに、当局に照会して忙しい担当官のお仕事を邪魔したくないので、照会は行いません。 ということで、今回は輸入したトルココーヒー用のサンドヒーターがPSEの対象となるかどうか、どのような手順で検討するかをご紹介しました。 (実際は、食品衛生法の対象となるか、家庭用品品質表示法の対象となるかなど、他にも様々な法令の検討が必要となりますが、まずは電気用品安全法に絞ってご説明しています。) 次回は、本件製品について実際に、PSEの検査を行ってまいります。引き続き宜しくお願いします。

  • 技術系行政書士勉強会を開催しました(量子分野の許認可)

    お世話になっております。行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。 2026年9月16日、弊所東京本部にて第1回 技術系行政書士勉強会を開催いたしました。 お陰様で15名の方にご参加頂き、行政書士以外にも、公認会計士、税理士、弁護士、弁理士(五十音順)といった他士業の先生方にもお越し頂けました。 第1回のテーマは「量子分野の許認可」 「行政書士の勉強会なのに、なぜ量子?」と思われるかもしれません。 しかし、弊所では量子技術の国際共同研究に伴う外為法対応、量子暗号装置(QKD装置等)の電気通信事業法対応、量子コンピュータやQPUのEAR対応、量子センサーの該非判定など、実際に量子分野に関係する法務・許認可業務を取り扱っており、今後の量子技術の発達と普及が行政書士業務の幅を広げると考えております。 今回の勉強会の流れとしては、①まず量子論の概要をご案内し、②次に応用分野を紹介し、③最後に関係する法規制と許認可をご説明するという形になりました。 ①では、量子分野の初学者の方が多かったため、量子の重ね合わせ、スピン、量子もつれ、トンネル効果、量子ゆらぎ、さらには二重スリット実験やシュレーディンガーの猫、ラプラスの悪魔の話まで、一から丁寧にご説明をしました。行政書士の勉強会としては、なかなか珍しい光景だったのではないでしょうか。 ②では、量子技術の代表的な応用分野である、量子コンピュータ、量子暗号、量子センサーについて取り上げました。 例えば量子コンピュータについては、単に「ものすごく速いコンピュータ」と紹介するのではなく、量子ゲート方式と量子アニーリング方式の違いや、組合せ最適化問題をどのように解いているのかについて説明しました。 また、量子暗号についてはBB84を取り上げ、光子の偏光方向と基底を使って、なぜ盗聴を検知できるのかをご説明したり、量子センサーについてはダイヤモンドNVセンターの原理等をご説明しました。 ③では、今回ご紹介した事例の一つに、量子コンピュータを利用した化粧品開発があります。膨大な組合せの中から、人間の研究者では通常選択しないような成分の組合せを量子コンピュータが導き出し、それが実際の商品開発につながる。技術として大変興味深い事例ですが、行政書士の視点から見ると、さらに別の景色が見えてきます。 これまで使用していなかった原料を使うのであれば、薬機法や化学物質関係法令の確認が必要になるかもしれません。 量子コンピュータを用いて開発されたコスメデコルテのクレンジング また、IT系企業が量子コンピュータを利用してブレンドコーヒーの最適な組み合わせを探索し、新規にカフェを出店した事例などをご紹介し、これまでその業界とは無縁だった企業が、量子技術を用いて新しく化粧品、食品、物流その他の分野へ参入するケースがあることもご説明しました。 新しい事業を始めるところには、多くの場合、許認可があります。つまり、新しい技術が生まれることは、新しい許認可業務が生まれることでもあるということです。これは今回の勉強会で最もお伝えしたかったことの一つでした。 勉強会終了後は近くの海鮮中華料理屋にて懇親会を開催しました。雨が降っていたため社用車3台に分乗していただいての送迎となりましたが、参加された先生方のお人柄のおかげで、車中でもお話が弾みました。 専門分野や事務所の垣根を越えて、参加された先生方とさまざまなお話をすることができ、弊所職員にとっても大変有意義な時間となりました。 次回の技術系行政書士勉強会は、弊所の谷垣(海事代理士・潜水士)が講師を務め「水中ドローンの許認可」をテーマに2026年11月18日に開催致します。 ROVやAUVといった水中ドローンの仕組みから、その開発・製造・輸出入・使用に関係する許認可までを取り上げます。 次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。 勉強会申し込みページ www.magus-legal.com/open-lecture 職員の感想 「量子力学と聞くと何となく難しくとっつきにくいイメージがあったのですが、先生が最初に『もしも量子力学を理解できたと思ったなら、それは量子力学を理解できていない証拠だ』という言葉を紹介していただいたことで、量子力学へのハードルが一気に下がりました。(ちょっと哲学的だな、、とも感じました。)」 「量子を使用したものに何があるかと聞かれるとあまりイメージがわかなかったのですが、以前の職場(病院)では使用する機会の多かったMRIなど案外身近なものに活用されていたことを知ったり、量子コンピュータを用いた実際の商品(コスデコのクレンジング)などを知れたことで、量子技術が社会で実際にどのように活用されているのかイメージできました。」 「アニーリング型が組み合わせ最適化に有効な理由が、トンネル効果と量子ゆらぎの性質を利用している点(量子ゆらぎの位置やエネルギーが常に変化し続けているという性質を利用して、複数の状態から同時に計算を行い最適解のみ観測する点)を理解できてよかったです。」

  • 該非判定のお仕事体験(医療機器)

    弊所の顧問先企業様・クライアント様には医療関係の企業様もいらっしゃるため、医療分野に関する知識も必要となります。特に、医療機器の該非判定を行う際は、医療の知識と機器としての知識、外為法の規制対象貨物に対しての知識が必要になります。 そこで今回は、前職が看護師の新入職員に、医療機器の該非判定を体験してもらいました。 新人職員の感想 今回は医療機器の該非判定ということで、CTや超音波検査装置、歯科治療に関する製品等の該非判定をさせていただきました。メイガスに入所してから練習として何度か該非判定を行ったことはありましたが、実際の製品で該非判定を行うことは今回が初めてでした。前職では看護師としてオペ室と脳神経外科で勤務していたため、使用経験のある装置も多くありました。 今回該非判定を体験した製品について ①CT X線を使用することで体の内部の撮影を行うことができる装置です。 私が前職で勤務していたオペ室ではCTを使用しながらのオペも多くありました。「体を切るから内部も見えるはずなのになんでCTを使うの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、すべての術式が必ずしも体を切って内部を直接目視するわけではありません。 例として膀胱がんなどの泌尿器系の手術では、体にメスを入れずに手術を行います。そのためカメラやCTを用いて体内での操作が正常に行われているかを判断していました。 また、骨折に対する手術の際にも骨の位置が正常な位置になっているかどうか判断するため術中でもCTが使用されていました。CTを使用するオペの際には被ばく防止のため、看護師に対してもプロテクターの装着が義務でしたが非常に重たかった記憶があります…特に8時間ほどの長時間オペの際、オペ終了時にはオペに入っていた全員が「肩が痛い」と言っていたことが印象に残っています。 ちなみに、患者様には鎮静後術野にかぶらない範囲でプロテクターを体の上に被せていました。例として泌尿器や四肢の骨折の場合は腹部に被せていました。 CTについては、放射線が使用されるため2項(原子力関係)の判定を行いました。また、カメラも搭載されているため、カメラの性能についても仕様書等から確認も行いました。 ②超音波診断装置 超音波診断装置は、名前の通り超音波を使用して臓器や神経を調べることができる装置です。一般的に想像しやすいものでいうとエコーも超音波診断装置です。CTとは異なりX線を使用しないため、人体への負担も少ないとされています。 オペ室では、手の手術(手根管切開術等)を行う際に腋窩麻酔を行いますが、脇の下にある神経に直接麻酔の注射を刺すような術式のため、正確な神経に麻酔を打つことができるように超音波診断装置が用いられていました。そのほかにも泌尿器系疾患の検査の際にも使用されていました。 今回の超音波診断装置自体は非該当でしたが、超音波診断装置に組み込まれている部品の中に、リスト規制該当のものがあったため、部分品特例が使用可能か判断するために本体価格との比率等を確認しました。 ③レフラクト・ケラトメータ(眼科機器) 赤外光を眼底に当てその屈折力を測定することで目の検査を行う装置です。眼科の診察でよく使われる機器ですが、私はオペ室と脳神経外科で勤務していたため、病院では一度も使用したことがありませんでした。検査のために使用される装置であるため、外来での使用が多かったのではないかと思います。 ちなみに、眼科のオペでは患者様には、ベッドではなく歯科用の椅子のようなものに座ってもらってオペをします。座ったままオペを受けるって、なんだかめずらしい気がしますよね。 レフラクト・ケラトメータの該非判定では、搭載されている超高感度CCDなどの部品が、医療機器の除外規定を適用できるか確認するのが主な内容となりました。 ④歯科用ユニット 歯医者にある椅子や歯科治療用の器械を置く場所が一体型になっている製品です。オペ室で勤務していた際には、オペ用のベッドで歯科治療を行っていたため、こちらも使用経験がありません。 こちらは、資料の中で構成の食い違いがあるように見受けられたため、どの部品を同梱して輸出するのか(歯科用の器械なども同梱するのか)等の確認を行いました。 今回の該非判定体験の流れ まずは、製品の確認と製品資料を読み用途を調べるところから始めました。CTや超音波診断装置は実際に使用経験があったため、製品画像を見てすぐに用途まで予想することができましたが、眼科機器や歯科用機器等の専門外の機器については製品資料を読んでも分からない部分があったため少し苦戦しました。 製品全体の把握が完了したら、次は該当可能性のある部品や分からない単語を調べ、リスト規制のどの項番に該当する可能性があるかを把握しました。例えば、「X線蛍光増倍管」や「ロータリーエンコーダ」は単語自体知らないものでした。それぞれCT、超音波診断装置に搭載されていたため、知っている医療機器だからといってスムーズに該非判定が進むとは限らないと実感しました。 部分品の把握も完了したら、いよいよ該非判定に入ります。 今回は医療機器の該非判定ですが、輸出令別表第1の5~13項と15項は医療用に設計された装置、医療用に設計された装置に組み込まれたものは規制対象外になっているため、1項~4項と14項について該非判定を進めます。 例えば8項では電子計算機(コンピューター)が規制されていますが… こちらの右下部にあるように、医療用に設計された装置等は除外されますので、医療用コンピューターなどは非該当と判定できることがあります。 「医療用に設計された装置」の定義については、経産省がQ&Aを公開していますので、実務では医療用コンピューターという商品の名称だけで非該当と断定するのではなく、製品の仕様書や他の許認可もみて判断します。 また、1から4項の中でも、項番ごとに医療用装置について除外規定が設けられている項もあります。例えば、CTの場合はX線が搭載されているため、X線を規制している2(37)で判定を行いますが、2(37)では医療用装置が規制対象外となっています。そのため、1項~4項のなかでも医療用装置の除外規定があるか否か確認しながら、判定を進めていきました。 青文字で「医療用装置を除く」とされており、また、今回の判定対象は薬機法の承認を取得しているれっきとした医療機器であったため、2(37)は非該当と判定できます。 同様の除外規定は他の項番にも存在します。例えば貨物等省令2条の2第1項1号ではウイルスが規制されていますが、青字部にあるとおり医療用のワクチンは除外規定があります。 こちらの項番では毒素が規制されていますが、ボトックス注射で使われるボツリヌス神経毒素や、鎮痛薬として使われるコノトキシン※は、青文字部のような除外規定があります。 (※ なお、記事執筆時点においてコノトキシンは鎮痛薬として米国FDAでは承認されているものの、日本では未承認のようです) 実務を想定した該非判定を体験した感想 実際にオペ等で使用経験のある製品でも、製品概要や取扱説明書を読む機会はほとんどなかったため、「こんな部品が使われていたんだ!」と初めて知ることが多くありました。 製品概要を読むと知らない言葉が非常に多く出てきて、1製品の製品資料を読み終わるまでに非常に時間がかかってしまいました。また、分からない単語があって調べた際にもそれがリスト規制に該当するのかどうかが結びつかず、その点が非常に難しく感じました。 さらに、部品名が必ず経産省の貨物マトリクス表に記載されているわけではないので、その部品の役割について理解したうえで該当する項目はないかを検討しなければならない点が最も難しかったです。実際に、自分で該非判定を進めていく中で見落としていた部品がありましたが、教育担当の先生にご指摘を頂くまで気づくことができていませんでした。1つの確認ミスや見落としで大きな事故につながる可能性があるため責任の重さを改めて実感しました。 実際に該非判定を行ってみて、難しいなと感じることは非常に多くありましたが終わった後は達成感も感じられました。また、分からないことはその都度先輩方に質問することができ、初めての実務での該非判定でしたが安心して進めることができました。今後は、医療機器だけでなく様々な製品の該非判定も任せていただけるように、責任感を持って日々の仕事に取り組みたいと思います。

  • 音楽プロデューサーの先生から音響機器の教育を受けました🎤

    弊所は通商規制・貿易法務に関する許認可を重点的に取り扱っており、音響機器のメーカー/商社の顧問先企業様から各種音響機器や楽器の輸出入に必要な許認可について、ご相談を頂くことがあります。 しかし、音響機器の許認可対応を行う際は、音響機器についての最低限の知識が必要となります。そのため、音楽プロデューサー/ビートメイカーのLeo Iwamura先生に弊所教育本部にお越し頂き、全若手職員を対象に、音響機器の教育を行って頂きました。 弊所職員は音響機器に詳しい者がおらず、「サンプラー」「イコライザー」「ミキサー」「モニターアンプ」などの音響機器の名称を聞いても、よく調べないと理解できないという問題がありました。 そのため、クライアント様から「オーディオインターフェースを輸入したいんですが電気用品安全法の対象ですか?」「このエレキギターを輸入したいのですが、PSE上の区分は『電気楽器』ですか?『電子楽器』ですか?」「DAWを海外に販売・配信する場合、外為法対応は必要ですか?」などとご相談を頂いても、私共に音響機器や楽器の商品知識が少ないため、対応に苦労していました。 よって、今回は音楽業界のプロの方に、様々な音響機器の実機を持参して頂き、それぞれの機器の概要、原理、機能、類似製品との違いなどの説明を受け、実際に使用させて頂くという、大変貴重な教育を頂くことができました。 今回の外部講師講話のお陰で、音楽未経験の職員が以下のような経産省による解釈を見ても、すぐに「エフェクターやオーディオインターフェースは『その他の音響機器』としてPSE対象なんだな」と理解できるようになりました。ちなみに講師のLeo Iwamura先生はこちらの行政文書を見て、「音響機器を固苦しく説明する選手権で優勝できるな」と感想を漏らしていました。 また、電気用品安全法の観点で非常に面白いビンテージ音響機器の、Ace Tone Rhythm Ace FR-6の実物を拝見できました。こちらは今回の教育で最も拝見したかった機材です。 こちらの機材は、1960 年代後半に日本のエース電子工業が作ったリズムマシンで、ボタンを押すとワルツ、ボサノバ、マーチなど、あらかじめ用意されたパターンが自動で鳴ります。本物のドラムを録音して再生しているのではなく、トランジスタ回路が電気的に「ドラムらしい音」を合成していて、録音ではなく回路で音を作るとのことです。 さて、許認可の話に戻りますと、ビンテージの電気楽器、電子楽器、音響機器等は、経済産業大臣に申請をして承認を受けることにより「特別承認に係る電気楽器等一覧」として経産省の指定を受ける(例外承認申請)ことで、PSEマークの表示無しで販売することができます。 そして、こちらのAce Tone Rhythm Ace FR-6は、右下画像の反転部のとおり、「特別承認に係る電気楽器等一覧」に掲載されているのです。「例外承認の対象機器だ!」と我々、PSEオタクの職員たちは大いに盛り上がりました。 本教育の最後には、講師のLeo Iwamura先生のご厚意により、作曲についてもお教え頂けました。ビートメイカーの方から直接、ビートメイクを教わるという大変貴重な機会を頂けました。 Leo Iwamura先生には貴重な教育と様々な実機をご用意頂きまして、この場を借りてお礼申し上げます。

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