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  • 水澤

行政書士の上司が潜水士の資格を取得していたので色々と聞いてみた

「行政書士」、「潜水士」はどちらも国家資格ではありますが、関連性はあまりないと思われる資格です。潜水士の資格取得に至った上司の趣味がダイビングなわけでもありません。あくまで仕事のために取得したらしいのですが、その動機や実態がよくわからないため、所長の大澤に直接聞いてみることにしました。

 

 

そもそも潜水士ってどんな資格なの?ダイビングのライセンスと何が違うの?


所長「潜水士と似た資格でダイビングのライセンスがあります。そっちはレジャーで海に潜る人、例えば熱帯魚が見たいとか。潜水士は仕事で海に潜る人が取る国家資格です。細かいところはググってほしいんですけど、ざっくりいうとそういう違いです。仕事で潜るってイメージ湧く?」 

水澤「イメージとしては人を探すというか、水難救助とかですかね?」

所長「それもあるけど、水中で工事とか測定・調査する場合のが多いかな?珍しいところだと水族館の水槽の中で掃除とか点検のために潜る人とか、テーマパークの人工湖に潜る人もいるね。ちなみに、仕事でも素潜りだったら潜水士の資格なしでも大丈夫。ボンベ着ける場合は必須だね」


水澤「じゃあ試験で潜ったりするんですか?」

所長「実は潜らないんですよねえ。筆記だけなんです。実技は各自自分で訓練する感じ。座学が大事な理由としては、ボンベを使用するような深い潜水では知識が必要になってくるんだよね。例えば、素潜りだと人間の限界値が世界記録で56メートル、これはめちゃくちゃすごい記録なんですけど、ものものしいスクーバ装置一式を着けるともっと深くまで潜れるんです。でも、それだけ潜水障害、いわゆる潜水病の危険もでてくるから、勉強しておかないと怖いわけです」

水澤「素潜りで56メートルってすごいですね!装置を付けたら呼吸できて長く潜れるだけじゃなくて、深く潜れるようにもなるんですね。どれくらい深くまで潜れるんですか?」

上司「海上自衛隊の専門の人とかはボンベ着けて450メートル潜れるらしいよ」

水澤「450メートル!? 東京タワーよりも深いですね…!」

上司「そうそうすごいよね!で、怖いのは深いところから急に浮上すると、減圧症になるんですね。だから、もし海底でサメに遭遇しても、急いで水面に上がろうとすると危ない。だから、どういう潜り方、どういう上がり方をしないといけないかを深く潜れば潜るほど意識しなければならないんです。普通のレジャーとか素潜りだと、そういうことは知らなくても減圧症になるほど深く潜ることはあんまりないですけどね。まあとにかく、潜水は危険な作業ですから、水泳が得意な人でも勉強しないと生命の危険があるということです」

 

水澤「学科の試験はどんな感じの内容なんですか?」

上司「学科の科目は潜水関係の知識と、潜水に関する病気、あとは潜水に関する法律(労働安全衛生法)だね」

水澤「ほうほう。何メートルまで潜っていいとかは決まっているんですか?」

所長「船舶免許だと沿岸何kmまでとかあるけど、潜水士にはそういう規定はないので自分で判断して、自由に潜れるよ。潜るのは海だけじゃなくて、ダム湖の中とか、下水道なんかに潜ることもある。大変なお仕事だよね」


 

 

どうして行政書士なのに潜水士の資格を取ったの?

所長「新しい業界の顧問先が増えた際、『御社のためにどんな勉強をするべきですか』と聞いているんだけど、水中電話とかダイビング器材を作っている潜水器材メーカーさんから『潜水士の勉強をしてみてほしい、そしたらうちの商品のことがよくわかるから』と言われて、勉強してみたらこれが面白くて、ついでに受験して資格も取ってみました」

水澤「メーカーさんもびっくりしたでしょうね、勉強してほしいって言ったら資格取りましたーって言われて」


 

 

どのように仕事に役立てているの?

所長「実際潜水士の資格を取ってみると「ナイトロックスの製造に関して高圧ガス保安法の許認可を教えてほしい」とか「飽和潜水用のダイブコンピューターの該非判定書を発行してほしい」とか、そのようなことを言われてもあーはいはいとわかるわけですね。

 

いちいち「ナイトロックスとは?」とか、「飽和潜水とは?」とか悩みながら調べなくて良い。お客様に「ナイトロックスってなんですか?」と聞いても教えてくれるとは思いますが、それでも話が早いことに越したことはないし、実際、お客様から自社の商品や業界を理解してくれていて助かると言ってもらえます。

 

それに、自分としても知らない潜水器材を、場当たり的ににその場しのぎで調べても、理解が正しいのか不安になります。だから基礎的な内容とは言え事前に体系的に勉強したことが正しい理解と安心につながっています。」

 

水澤「ちなみに仕事以外にも役に立つことはあるんですか?」

所長「通勤のときにうちは東京本部がビルの28階にあって、川崎ラボは43階にあるからエレベーターで耳がキーンとしやすいんだけど、潜水士取ってから耳抜きしやすくていいね。座学だけど耳抜きのコツとか勉強したから。」

水澤(そんなことに役立たせてるの?)


 

潜水士の資格を取ってよかった?

所長「潜水士の資格を取得後、海洋調査会社さんとか、サルベージ会社さんから依頼が来た時も…」

水澤「すみません、サルベージってなんですか?」

所長「沈んだ船を引き上げることだね。そのときも潜水器材、潜水調査の話になるので、『あのとき潜水士試験でやったところだ!』と役に立っています。」

 

 

他の潜水士の方と交流はあるんですか?

所長「他にも潜水士の行政書士さんはいらっしゃるんだけど、お会いしたことはないんですよね。最後に他の潜水士さんと話したのは、海上自衛隊の潜水艦救難艦(浮上できなくなった潜水艦から乗員を助けだす船)に乗ったときかな…」

水澤「え、先生もそれ乗ったんですか?!」

所長「そうそう。お仕事でね。そのとき潜水士の人とお話しして、やっぱり本職の人は仕事の大変さが桁違いだなって思いましたね。海上自衛隊の潜水士の方だと、一般に想像するような救助活動などもするんだけど、水中で機雷処分(爆弾処理班みたいなこと)もやっているので、あれはやっぱり民間の潜水士はやらない仕事だよねぇ」


 

 

他にはどんなめずらしい資格を持っているの?

上司「潜水士と関係がある資格だと、ボイラー技士も合格しています。ここの、二ボイラーってやつです。



潜水士の免許って独立した一つのものじゃなくて、運転免許証みたいに取得した奴だけチェックされていくんですよ。

だから、労働安全衛生法関係の資格はいくつ取っても、このカード一枚にまとめられちゃうんです。でも、合格したけど免状申請をまだしていないので、このカードは潜水士しかチェックが入っていないのです」


 

 所長「潜水士にしてもボイラー技士にしても一見行政書士の業務と関係なさそうに見えますが、その勉強経験はなにごとも仕事に役立つんですよ。ボイラーだったら、顧問先企業がボイラーを輸入する時に勉強して、その後で別のボイラーメーカーさんから偶然、ボイラーの輸出をする依頼が来た時にも役立ったりしました。思いがけず色んな知見が役に立つ職場ですからね」

 

上司があまり一般的になじみのなく、また行政書士の仕事にもあまり関係のなさそうな潜水士資格を取得していることを疑問に思っていたのですが、今回改めて聞いたことでその資格を勉強したことによって仕事へもたらす効果や重要性を知ることができました。

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