該非判定のお仕事体験(医療機器)
更新日:9月8日
弊所の顧問先企業様・クライアント様には医療関係の企業様もいらっしゃるため、医療分野に関する知識も必要となります。特に、医療機器の該非判定を行う際は、医療の知識と機器としての知識、外為法の規制対象貨物に対しての知識が必要になります。
そこで今回は、前職が看護師の新入職員に、医療機器の該非判定を体験してもらいました。
新人職員の感想
今回は医療機器の該非判定ということで、CTや超音波検査装置、歯科治療に関する製品等の該非判定をさせていただきました。メイガスに入所してから練習として何度か該非判定を行ったことはありましたが、実際の製品で該非判定を行うことは今回が初めてでした。前職では看護師としてオペ室と脳神経外科で勤務していたため、使用経験のある装置も多くありました。
今回該非判定を体験した製品について
①CT
X線を使用することで体の内部の撮影を行うことができる装置です。
私が前職で勤務していたオペ室ではCTを使用しながらのオペも多くありました。「体を切るから内部も見えるはずなのになんでCTを使うの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、すべての術式が必ずしも体を切って内部を直接目視するわけではありません。
例として膀胱がんなどの泌尿器系の手術では、体にメスを入れずに手術を行います。そのためカメラやCTを用いて体内での操作が正常に行われているかを判断していました。
また、骨折に対する手術の際にも骨の位置が正常な位置になっているかどうか判断するため術中でもCTが使用されていました。CTを使用するオペの際には被ばく防止のため、看護師に対してもプロテクターの装着が義務でしたが非常に重たかった記憶があります…特に8時間ほどの長時間オペの際、オペ終了時にはオペに入っていた全員が「肩が痛い」と言っていたことが印象に残っています。
ちなみに、患者様には鎮静後術野にかぶらない範囲でプロテクターを体の上に被せていました。例として泌尿器や四肢の骨折の場合は腹部に被せていました。
CTについては、放射線が使用されるため2項(原子力関係)の判定を行いました。また、カメラも搭載されているため、カメラの性能についても仕様書等から確認も行いました。
②超音波診断装置
超音波診断装置は、名前の通り超音波を使用して臓器や神経を調べることができる装置です。一般的に想像しやすいものでいうとエコーも超音波診断装置です。CTとは異なりX線を使用しないため、人体への負担も少ないとされています。
オペ室では、手の手術(手根管切開術等)を行う際に腋窩麻酔を行いますが、脇の下にある神経に直接麻酔の注射を刺すような術式のため、正確な神経に麻酔を打つことができるように超音波診断装置が用いられていました。そのほかにも泌尿器系疾患の検査の際にも使用されていました。
今回の超音波診断装置自体は非該当でしたが、超音波診断装置に組み込まれている部品の中に、リスト規制該当のものがあったため、部分品特例が使用可能か判断するために本体価格との比率等を確認しました。
③レフラクト・ケラトメータ(眼科機器)
赤外光を眼底に当てその屈折力を測定することで目の検査を行う装置です。眼科の診察でよく使われる機器ですが、私はオペ室と脳神経外科で勤務していたため、病院では一度も使用したことがありませんでした。検査のために使用される装置であるため、外来での使用が多かったのではないかと思います。
ちなみに、眼科のオペでは患者様には、ベッドではなく歯科用の椅子のようなものに座ってもらってオペをします。座ったままオペを受けるって、なんだかめずらしい気がしますよね。
レフラクト・ケラトメータの該非判定では、搭載されている超高感度CCDなどの部品が、医療機器の除外規定を適用できるか確認するのが主な内容となりました。
④歯科用ユニット
歯医者にある椅子や歯科治療用の器械を置く場所が一体型になっている製品です。オペ室で勤務していた際には、オペ用のベッドで歯科治療を行っていたため、こちらも使用経験がありません。
こちらは、資料の中で構成の食い違いがあるように見受けられたため、どの部品を同梱して輸出するのか(歯科用の器械なども同梱するのか)等の確認を行いました。
今回の該非判定体験の流れ
まずは、製品の確認と製品資料を読み用途を調べるところから始めました。CTや超音波診断装置は実際に使用経験があったため、製品画像を見てすぐに用途まで予想することができましたが、眼科機器や歯科用機器等の専門外の機器については製品資料を読んでも分からない部分があったため少し苦戦しました。
製品全体の把握が完了したら、次は該当可能性のある部品や分からない単語を調べ、リスト規制のどの項番に該当する可能性があるかを把握しました。例えば、「X線蛍光増倍管」や「ロータリーエンコーダ」は単語自体知らないものでした。それぞれCT、超音波診断装置に搭載されていたため、知っている医療機器だからといってスムーズに該非判定が進むとは限らないと実感しました。
部分品の把握も完了したら、いよいよ該非判定に入ります。
今回は医療機器の該非判定ですが、輸出令別表第1の5~13項と15項は医療用に設計された装置、医療用に設計された装置に組み込まれたものは規制対象外になっているため、1項~4項と14項について該非判定を進めます。



また、1から4項の中でも、項番ごとに医療用装置について除外規定が設けられている項もあります。例えば、CTの場合はX線が搭載されているため、X線を規制している2(37)で判定を行いますが、2(37)では医療用装置が規制対象外となっています。そのため、1項~4項のなかでも医療用装置の除外規定があるか否か確認しながら、判定を進めていきました。



(※ なお、記事執筆時点においてコノトキシンは鎮痛薬として米国FDAでは承認されているものの、日本では未承認のようです)
実務を想定した該非判定を体験した感想
実際にオペ等で使用経験のある製品でも、製品概要や取扱説明書を読む機会はほとんどなかったため、「こんな部品が使われていたんだ!」と初めて知ることが多くありました。
製品概要を読むと知らない言葉が非常に多く出てきて、1製品の製品資料を読み終わるまでに非常に時間がかかってしまいました。また、分からない単語があって調べた際にもそれがリスト規制に該当するのかどうかが結びつかず、その点が非常に難しく感じました。
さらに、部品名が必ず経産省の貨物マトリクス表に記載されているわけではないので、その部品の役割について理解したうえで該当する項目はないかを検討しなければならない点が最も難しかったです。実際に、自分で該非判定を進めていく中で見落としていた部品がありましたが、教育担当の先生にご指摘を頂くまで気づくことができていませんでした。1つの確認ミスや見落としで大きな事故につながる可能性があるため責任の重さを改めて実感しました。
実際に該非判定を行ってみて、難しいなと感じることは非常に多くありましたが終わった後は達成感も感じられました。また、分からないことはその都度先輩方に質問することができ、初めての実務での該非判定でしたが安心して進めることができました。今後は、医療機器だけでなく様々な製品の該非判定も任せていただけるように、責任感を持って日々の仕事に取り組みたいと思います。
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