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プロクシュティネの弾道ミサイル基地を見学しました

  • 大沢
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

いつもお世話になっております。行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。


今回見学したPlokštinės raketų bazė(プロクシュティネ・ミサイル基地)は、リトアニアのプルンゲ市にある旧弾道ミサイル基地で、ソ連時代には核弾頭を搭載したSS-4中距離弾道ミサイル4基が配備されていました。


弊所では、安全保障貿易管理に関する理解を深めるため、リトアニアにある旧ソ連のプロクシュティネ弾道ミサイル基地の見学を行いました。


ミサイル基地の周囲は地雷と電気柵と歩哨で警備されていたそうです


MTCRとは何か

行政書士の私が、なぜ海外のミサイル基地を見学するのでしょうか。その理由を理解するためには、まず「MTCR」という国際的な輸出管理の仕組みについて知る必要があります。


MTCRとは、Missile Technology Control Regime(ミサイル技術管理レジーム)の略称です。核兵器、化学兵器、生物兵器などの大量破壊兵器を運搬できるミサイルと、その開発・製造に利用され得る貨物や技術の拡散を防止することを目的として、1987年に発足しました。

MTCRは国際条約ではなく、その目的に賛同する国々が輸出管理の方針や規制対象品目を調整するためのレジームです。条約ではないといっても「無視しても良い」というわけではありません。MTCRの参加国は、MTCRで合意されたガイドラインや品目リストを、それぞれの国内法令に反映し、輸出管理を行っています。日本では、外国為替及び外国貿易法(外為法)、輸出貿易管理令(輸出令)、外国為替令(外為令)などによって実施されています。日本人も、MTCRの合意内容を国内法化した外為法に違反すると、最大10年の拘禁刑となります。

MTCRの規制対象となるのは弾道ミサイルの本体だけでなく、エンジンや推進薬、材料、加速度計やジャイロセンサーはもちろん、細かい部品まで含まれます。具体的には、弾道ミサイルやロケットの推進薬の制御装置のポンプに使われる小さなベアリングも、仕様によってはMTCRの規制対象です。


なお、弊所では、MTCRをはじめとする国際輸出管理レジームの合意を反映した外為法令に基づき、輸出する貨物や提供する技術がリスト規制に該当するかを確認する「該非判定」という業務を実施しています。詳しくは該非判定のコラムをご覧ください。


MTCRが発足したのは1987年であり、プロクシュティネ・ミサイル基地の運用終了後ですので、プロクシュティネ基地がMTCRに基づいて管理されていたわけではありません。MTCRは、プロクシュティネ・ミサイル基地が運用を終了した後に成立しています。

それでも、この基地はMTCRを学ぶうえで重要な場所です。なぜなら、弾道ミサイル基地は運用を終了したからといって、研修目的で部外者が訪問できることは少なく、弾道ミサイルの歴史や設備を学べるプロクシュティネ基地は、後世にMTCRが拡散を防止しようとした兵器がどのようなものだったか、また、どのような施設・技術によって支えられていたのかを示す、貴重な実物の教材といえるからです。

ちなみに、弾道ミサイル基地は日本国内には存在しませんし、現在訪問可能な場所は、リトアニア以外には恐らくウクライナ、ラトビア、そして米国と、非常に限られています。


今回はミサイルサイロだけでなく、発射管制室、通信室、酸化剤貯蔵室といったミサイル基地に必須の設備も見学できました。

今回の見学では、自分たちが日々読み込んでいる外為法やMTCRが、最終的に何を防ぎ、何を守ろうとしているのかを、実物の施設から学ぶことができ、大変貴重な機会となりました。


ミサイルサイロ。ドーム状のコンクリートはミサイル発射設備のバンカー。バンカーの下は深さ25mの縦穴が掘られており、縦穴にはミサイルが立てて収納されている。発射時はバンカーがスライドする。
ミサイルサイロ。ドーム状のコンクリートはミサイル発射設備のバンカー。バンカーの下は深さ25mの縦穴が掘られており、縦穴にはミサイルが立てて収納されている。発射時はバンカーがスライドする。
気密室の入口を示す表示。今回見学した基地のSS-4ミサイルに使用されていた酸化剤は、硝酸に27%の窒素酸化物を溶解させた溶液で、極めて毒性が高かったため、酸化剤貯蔵室は分厚い気密扉で密閉されている。
気密室の入口を示す表示。今回見学した基地のSS-4ミサイルに使用されていた酸化剤は、硝酸に27%の窒素酸化物を溶解させた溶液で、極めて毒性が高かったため、酸化剤貯蔵室は分厚い気密扉で密閉されている。

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