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該非判定のお仕事体験(ハイドロホン)

  • 大沢
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。


本日は弊所にインターンに来てくださった大学生の方に、お仕事体験として、潜水艦を探知するために海中の音を聞くハイドロホン(水中マイク)が、外為法による輸出規制を受けるか否か判定する、「該非判定」の業務を体験して頂きましたので、インターン生の方による感想をご紹介します。



弊所の顧問先企業様・クライアント様には海洋関係の企業様が多く、ソナーシステムの輸出や、船舶の輸出、海洋調査・極地調査に際しての調査機材の輸出など、様々な海洋機器の該非判定に関するご相談を頂いており、このような案件は弊所ではよく取り扱っているため、今回のハイドロホンの該非判定についても、弊所での日々の業務の体験として適切な題材であると考えています(インターンプログラムのため、普段の実務と比べるとかなり簡単ではありますが)。


今回のお仕事体験では、最初にハイドロホンの基礎知識を座学でお教えしました。その上で、弊所からお渡ししたハイドロホンのカタログや仕様書、マニュアル等の技術資料を元に、外為法の輸出令・貨物等省令と照らし合わせて、該非判定を行うべき項番をインターン生の方に特定してもらい、そのまま該非判定を行ってもらう流れで進めました。


最初の座学では、ソナーやハイドロホンの原理や、自由音場における送波器の実効音響中心から基準距離にある主軸上の音圧レベルの計算方法、Transmit Sensitivityを表すグラフの読図法など、ハイドロホンの該非判定に必要な最低限の知識をお教えしました。


途中で不明点が生じた場合は、お配りしている参考書籍(弊所教育本部所蔵の技術書)を参照して頂きながら、該非判定を進めてもらいました。


左:今回の該非判定演習で使用した技術書

右:ハイドロホンやソナーに興味がある人におすすめの図書


また、最後に弊所が実際に観測した誤判定事例として「自由音場における送波器の実効音響中心から基準距離にある主軸上の音圧レベル」を「送波電圧感度」と勘違いしているケースや、「Hzで表した10kHz未満の最大送波電圧感度が最大となる周波数」を、kHzのまま計算しているケースなど、よくあるケアレスミスを紹介してから、実際に該非判定に取り組んでもらいました。


インターン生の感想


東京大学文科一類二年生のS.Sと申します。法学部に進学予定ですが、まだ学部の授業も本格的には開始しておらず、該非判定や法令、センサーについての知識も無いも同然の状態ですがなんとかメイガス国際法務事務所のインターン生として参加させて頂きました。


本日、ハイドロホンの該非判定を体験しましたが、ハイドロホンのマニュアル等を参照しながら、該非判定に必要な部分の数値を見つけ出したり、判定に用いることが非常に難しいと感じました。


例えば、貨物等省令9条第1号の水中探知装置として規制対象となるか否かの条件として、イ(六)2には「当該装置から530メートル以内の距離にいる人を探知した場合の位置の誤差の2乗平均平方根が15メートル未満のもの」と記載されています。このような値はメーカーがマニュアルに全て丁寧に(ちょうどいい条件で)記載してくださっている訳ではないので、自分で計算して判断する必要がありました。


また、そもそも専門的な製品のマニュアルをしっかり読み込むという経験が私にとって初めてでした。日常生活で操作方法の確認程度に簡単な取扱説明書を読むのと違い、該非判定に必要な情報を専門的な技術資料から見つけ出すのは難しく、自分の知りたい情報が散逸しており、あちらこちらを参照することにとても苦労しました。


加えてマニュアルは英語で記載されており、日本語でも意味のわからない専門用語や単位を英語で読み解く必要がありました。英語は大学生になってからも熱心に勉強していたつもりでしたが、英文技術資料となると、読み解くには時間がかかりました。このような業務をミスなくこなすには、能力だけでなく集中力と効率性が要求されると痛感しました。


また、デューティーサイクルや送波電圧感度など、判定に必要な値の意味や専門知識については事前に教えていただきましたが、私は高校生以降触れてこなかった物理・化学のような内容に拒否反応を示しそうになりました。法規制を理解するためには、理系分野であろうと関係なく学習し、最小の時間で実務に反映しなければならないという点が大学との勉強の最大の違いだと感じます。


今回扱ったハイドロホンについては、一切この演習まで聞いたことがありませんでした。関連するソナーや魚群探知機についてはニュースや映画等で見かけることがありましたが、海無し県で生まれ育った私には全く馴染みのない物でしたし、そんな馴染みのない機械について、性能を細かく制限する法令の存在なんて考えもしませんでした。


今回の演習でハイドロホンに関われたことで、社会は自分の知らない場所で様々な人の仕事によって維持されているのだと感じました。今回の演習をきっかけに該非判定の技術だけではなく、社会の事柄についてより興味関心を持って学んでいきたいと思います。

行政書士法人メイガス国際法務事務所

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