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学校見学(陸上自衛隊衛生学校)

  • 水澤
  • 12月5日
  • 読了時間: 5分

弊所では医薬品・医療機器の輸出規制対応や、バイオ/ライフサイエンス分野の許認可申請のご相談を頂くことがよくあります。しかし、弊所には医療従事者がいないため、医療機器が実際の医療現場でどのように運用されているのかを知る者はおりません。そのため、より医療・衛生への理解を深めるために、陸上自衛隊の三宿駐屯地にある衛生学校へお伺いし、医療・衛生について勉強をさせて頂きました。


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三宿駐屯地、衛生学校、中央病院が同じ敷地内にあります。


陸上自衛隊の衛生学校とは


衛生学校とは、陸上自衛隊の教育機関の一つで、将来医療活動等の分野で活躍する隊員を育てるための教育訓練を行っている学校です。国家資格である臨床検査技師、救急救命士の養成も行っており、将来は衛生科隊員として最前線で活躍する非常に重要な職務を担う方々を養成する機関です。


今回の訪問では、学校長 白石陸将補による講話の聴講、実際に訓練に使用されている資機材の見学、実験中の学生の皆様の見学、野戦病院を想定した演習中の統裁部見学、医学情報史料室「彰古館」の見学、陸上自衛隊の1トン半救急車の見学をさせていただきました。衛生学校の皆様にこの場を借りて、改めて御礼申し上げます。


学校長講話


学校長の白石陸将補が、衛生学校の沿革から現在の教育内容と学校の任務、医療現場での対応、衛生に対する全般的なお考えなどをお話してくださいました。現役の学校長にして陸将補の方から直接お話をお伺いできる大変貴重な機会でした。

 

特に印象に残ったのは、国内での災害対応についてのお話です。東日本大震災では負傷者の対応だけでなく、隊員のメンタル管理やビタミン不足への対応等新たな課題が発生し、熊本地震では専門知識を必要とする歯科診療も行ったり、コロナ禍では、ダイヤモンドプリンセス号に派遣されるなど、危急の際に常に最前線で国民・自衛官に寄添う姿に、さらに尊敬の念を抱きました。


統裁部や実験室の見学


衛生学校では、実際の現場を想定した訓練を実施しているため、負傷者の救護対応に特化した人形もあり、統裁部で訓練用人形を見学させて頂きました。


⚠以下に人形の詳細を記載していますが、性質上表現が露骨な部分があります。(できるだけソフトに書いてありますが)苦手な方は読み飛ばしてください。また、撮影不可のため、うろ覚えの記憶を頼りに書いております。


訓練用人形は負傷者を想定しているため下記のような様々な機能を有しておりました。

1. 片足が切断されており、肉と骨がむき出しになっている。

2. 足の断面も見えている。

3. 骨は裂けるように折れているため、折れたというより千切れたという印象

4. 鼠径部に穴が開いており、内部が見える

5. スイッチを入れると、うめき声を発する

6. 胸部が呼吸しているように上下する

7. 負傷部位から血があふれ出る

などなど…


衛生科隊員の方々は実際の現場を想定してこの人形を使用するため、訓練では部屋を真っ暗にして手探りで治療を行うそうです。ちなみに、この人形はあまりにも強烈なため「トラウマのトラさん」と隊員の方から呼ばれているとのことです。もちろん、怪我の表現がデフォルメされていては訓練になりませんから、必要不可欠な生々しさ・リアルさではあるのですが、周りから「ウッ」といううめき声が聞こえてきたのも印象的です。弊所代表も顔が青ざめていました。


トラウマのトラさんの画像が衛生学校HPに掲載されておりましたので、ご興味のある方は下記のリンクよりご覧ください。



学生の皆様の血液検査実験(吸光度測定など)も見学させていただきました。私はバイオ系の大学出身なのですが、大学の学生実験と同じような雰囲気であると感じました。また、学生の方々も同年代の方が多いように見受けられ、親近感を抱きました。しかしながら、衛生学校の学生の皆様は、学生である前に自衛官であるので日々の厳しい訓練の末、将来的に多くの人々を直接救う使命を担っている方々ですから、年齢が近い分、その使命を背負う覚悟や自衛官を志したという心意気に対して、より一層尊敬の念を抱きました。

衛生学校訪問中も、衛生学校への入学試験のため駐屯地内を走る方々がいらっしゃいました。人生をかけた試験である旨もご説明頂き、目の前で努力する同年代の方々の姿が非常にまぶしかったことを今でも覚えています。


医学情報史料室「彰古館」


彰古館では戦争による医学の発展についての史料を収集・展示しており、貴重で珍しい展示品の数々を見学させていただきました。収容品としては、幕末期から広島原爆の史料に至るまで数多くあり、明治初期の手術器械や抜歯器、顕微鏡等大変興味深く勉強になりました。

(案内をしてくださった担当自衛官の方と弊所代表が、乃木大将ファン同士仲良くなり、乃木式義手を見ながら盛り上がっていました)

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乃木式義手:日露戦争で両腕を失った兵に乃木大将が考案・製作し寄贈したもの。

(画像は衛生学校HPに掲載のものを使用させて頂いております)


救急車の見学


最後に1トン半救急車の見学もさせていただきました。自衛隊が使用する救急車は、災害派遣の救護活動等で使用するため、一般的な白い救急車とは異なる部分が多くあります。

最も大きく異なる点として、一度に搭載できる人員数が格段に多いという点があります。一般的な救急者では搭載できる患者が1名に対し、自衛隊の使用する救急車では最大4名搭載できます。

また、災害時や緊急時に現場でできるだけ多くのことを対応できるよう野外生命維持セットも搭載しており、現場での救護の重要性をより感じました。



2段ベッドのようなものがあり、これによって患者を最大4名搭載できる。




見学に参加した職員の感想


職員「敷地内で白衣を着た方が走っている姿を見ましたが、近くにある国家公務員共済連合組合会 三宿病院と三宿駐屯地内にある自衛隊中央病院のどちらにも勤務されている方のようでした。日ごろから両病院を行き来されているとのことで、医療現場で忙しく働いている姿が印象的でした。」


職員「救急車に乗せてもらえたのが初めてで、とても貴重な経験でした。」


大沢「熱い乃木大将トークができてうれしかった。」

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