弊所では、英語のみならず、ロシア語、中国語、韓国語、アラビア語などの外国語学習を奨励しており、一定の水準を満たした職員は教育手当支給対象となります。
また、職員の教育目的での外部機関への派遣も行っておりますので、今回はサウジアラビア大使館とも関係の深い、日本サウディアラビア協会へ派遣され、アラビア語を学習している弊所職員のKさんにインタビュー(質問攻め)を行いました。
水澤「アラビア語の知識がないため文字が絵のようにしか見えないのですが、どのような形で成り立っているのですか?アルファベットに近いのか、ローマ字に近いのか…。例えばハングル文字はローマ字のように組み合わせるため、パターンを覚えてしまえばすぐに読めるようになりますが、アラビア語ではその辺はどうなのか知りたいです」
K「私はローマ字とは違うように感じます。アラビア語は基本的に28字のアルファベットから成り立っていて、母音のアルファベットに子音記号などをつけて発音を判断します。
アルファベットごとで独立していれば読みやすいのですが、基本的に後ろにつながる文字は、ほとんどの場合、独立形の文字の1/3から1/2のみ書きます。
また、子音記号などは日本語でいう漢字のフリガナのようなものなので、新聞などにはついていないそうです。
これが、アラビア語が線でできた絵のようにみえる理由かもしれません」
大沢「文字の一部だけ書いて次の文字に続けちゃうのはびっくりですよね。説明が難しいけれど」
水澤「どんな人が勉強しに来てるんですか?
K「私が受講している講座では、色々な方をお見かけします。男女比は若干女性の方が多いような気がします。年齢層は様々ですが、若い世代の人は少ないような気がします。また全体的に、中東地域やイスラム教などに興味をもって取り組んでいる方が多いように思います」
水澤「アラビア語の勉強を始めた動機は?」
大沢「職務命令です。発令理由はしばらくの間、所外秘なのでコラムに書けません」
水澤「特別な業務なんだろうなと察しました…。アラビア語はどこの国でよく使われるのですか?」
K「アラビア語はアラブ首長国連邦をはじめチュニジア、エジプト、シリア、クエートなどのアフリカ・中東地域等で使われています」
水澤「結構色んな国で使われているんですね!発音は難しいですか?」
K「発音は難しいです。鼻、口、のどの真ん中、のどの下などから発します。日本語にも英語にもない音があるのでいままで勉強のしたことのない音を聞いて使うのは難しいです。英語の勉強をしているとRとLの発音やBとVの発音が難しく感じますが、アラビア語はSiinとShiin(スィーンとシーン)Daadとtaa(ダァードと、トの口でター)の発音が特に難しく思います」
水澤「初心者でも使えるアラビア語の単語はありますか?例えば、キレイは英語でビューティフル、韓国語でイェップダ、タイ語でソアイとか」
K「シュクランはアラビア語で『感謝』の意味を持ち、ありがとうのニュアンスで使われます。簡単で覚えやすく、最初に覚えられました!」
水澤「勉強方法は?デュオリンゴとかにあるんですか?」
K「講座の前後で授業資料に目を通しますが、アラビア語講座の先生がおすすめする子供用アルファベットの動画を聞いて勉強することもあります。単語などを覚えるときは講義資料を使うことがほとんどです。また、語学アプリのDuolingoでもアラビア語に触れることができ、実際に私も使っています。」
大沢「デュオリンゴあるんだ…謎の驚きがあります」
水澤「アラビア語は英語と比べてどれくらい難しいですか?」
K「アラビア語は美しい音をもつ言語ですが、発音が難しく、文字の表記も独特です。また、ディズニーシーのアラビアンコーストを歩き、キャストさんに挨拶される時以外でアラビア語を聞くことはほとんどありません。このように、慣れないアルファベットから慣れない単語と難しい発音を習得することがアラビア語学習の大変なところだと思います」
水澤「右から書くのってどんな感じ?」
K「右から書くことは意外にもすぐに慣れていきました!」
水澤「アラビア語を喋れるようになったらどこ行きたいですか?なにしたいですか?」
K「中東へ旅行し、紅海でダイビングをしてみたいです」
大沢「例えばモロッコではダリジャ(アラビア語のモロッコ方言。フランス語が混ざったような方言らしいです)が話されたりとか、アラビア語は方言の違いが大きいと聞いたけど、どういう方言で習うんですか?標準語とかがあるの?」
K「たしかに、アラビア語は地域ごとで細かく方言が異なりますが、初心者向けのアラビア語講座では正則アラビア語を習っています。理由としては、各地域の方言は正則アラビア語から崩れた場合が多いからだそうです。それだけでなく、外国人が特定の地域の方言を使う様子は、現地の人からみると不思議に思われることもあるからだそうです」
大沢「なるほどねえ。アラブのIBM※とか、そういうメンタリティも勉強できますか?」
※ 「インシャラー/神の思し召しのまま」、「ブクラ/明日(やります)」、「マーレッシュ/仕方ない、気にするな」の頭文字
K「はい。また、アラビア語はイスラム教と切り離せない部分もあるので、講義中に先生からイスラム教の文化などの話もお伺いできています」
大沢「ドイツ語では同じ単語でも主語として使うときと目的語として使うときで冠詞が変化するけれど、アラビア語では名詞自体が変化するらしいですね?」
K「まだ詳しくは習っていませんが、挨拶や短い会話文では名詞自体が変化していることが分かります」
大沢「好きなアラビア語はありますか?私は『アッサラームアライクム(あなた方の上に平和を)』という挨拶が好きです」
K「私も『アッサラーム アライクム』という挨拶が好きです。誰かの平安を願う挨拶を日常的に使う場面は少ないので、とても素敵な挨拶だと思います。なので私も「ワ アライクムッサラーム」と返事をしたいと思います。ただ、もう少し長い挨拶になることもあり、返答するときは同じくらいの長さで返すことが礼節であるそうです。そういうときの返事は「ワ アライクムッサラーム ワ ラハマトッラーヒ ワ バラカートゥフ」になるそうです。
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