弊所におけるAI利用
- 大沢
- 6月21日
- 読了時間: 3分
お世話になります。行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。
ここ数年で、様々な業界においてAI(特にLLM)の利用が一般的になってきたように感じますが、弊所でもご多分に漏れません。
突然ですが、私は、日本工学院で遺伝的アルゴリズムのAI特別ゼミを担当したり、学生時代はPythonやC++で自ら(レベルの低い)自然言語処理に関するコーディングをしていたことがあるくらい、AIは昔から携わっていました。
今でも顧問税理士の先生と、各々の事務所運営・実務へのLLM利用のために情報交換したり、自作APIを送ったりと、専門外なりにLLMにも親しんではいます。
そのため、余談ですが、今回の第何次かもわからないAIブームにおいて、生成AIとLLMが同視されたり、AI=Deep Learningだと広く思われている現状に色々と思うところがないではありませんが、とにかくそういう時代ですから、受け入れつつ対応する必要があると思っています。
さて、昨今の弊所のデジタルネイティブ世代の若い職員たちは、AI利用自体には抵抗がないように見えますが、ビジネス用途においても安全かつ適切に利用できるかは別問題です。
例えば弊所では、以前のコラムでご紹介しておりますが、輸出品の米国輸出管理規則対応(輸出許可の要否判定)において、AI技術を一部利用しています。また、国内外のウォッチ対象としている法令改正情報の自動取得、自動翻訳、自動要約など、法令改正アラートとしても利用しています。
他にも、顧問先企業様限定のサービスとして、貿易外省令、運用通達、無償告示といった外為法関連の初学者にとっては多少難解な法令を簡単に解説しなおして、実務上のポイントや留意点をまとめた「やわらか解説シリーズ」を作成・無償配布しておりますが、こちらもAIに手伝ってもらいながら作成しています。サンプルは以下からご覧頂けます。
「やわらか解説シリーズ」では、補足情報を追加するだけでなく、法令の条文を普段全く読まない人でも読みやすいように「本邦」を「日本」と言い換えたり、括弧書きを減らして「◯◯であるもの(☓☓を除く)」という表現を「☓☓を除いて◯◯であるもの」と書き換えるなど、日本語として馴染みがある文章にするよう配慮していますが、ここはLLMの得意分野であり、また、弊所職員のチェックによるエラー発見も容易であるため、単純な書き換え文の提案においてはAIを活用しています。
しかし、このようにAI利用は便利ではありますが、弊所職員がAIの原理や特性を理解せずに使用すると情報漏洩や過誤に直結してしまいます。そのため、弊所ではAIセーフティ・インスティチュート(AISI)が公表する「AIセーフティに関する評価観点ガイド」や、「AIセーフティに関するレッドチーミング手法ガイド」を利用して、AIセーフティリスクの対策を実施しています。
また、弊所のクライアント様にはAIベンダー様も複数いらっしゃるため、クライアント様の業務理解のためにも、しっかりAIに関する所内教育を行う必要があります。
例えば、先日はNICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)にお伺いして、日本独自のLLMの開発状況や、一昨日から開始されたばかりの宇宙天気イベント通報(SAFIR)においてどのようにAIが利用されているか等、最新状況を学ばせて頂きました。
他にも、ハルシネーション、unknown unknown(誰も想定していない未知のリスクが出現するリスク)、海外文化の過度の浸透(外国製LLMが覇権を握ることにより、LLMの出力から日本のアイデンティティ等が無視されるリスク)等の対応についても勉強させて頂きました。
今後も弊所職員はAIに限らず最新技術を学び、ゲームチェンジャーとなりうる技術は積極的に利用可能性を検討しつつ、クライアント様に高い価値を安全に提供できるよう、努力を続けてまいります。