なぜ行政書士が獣医事の勉強を?
行政書士法人メイガス国際法務事務所の大沢です。弊所はクライアント様に動物用医薬品・動物用医療機器のメーカー・商社の方がいらっしゃるため、動物用医療機器の輸出や、臨床検査のための動物の血漿や細菌の輸出入などのご相談を頂いています。
そのため、周辺知識として日頃から薬機法、ペットフード安全法、動物愛護管理法など、動物法務の勉強会を所内で開催しておりました。
今回は獣医師の吉田昌則先生と、先端医療センターAdAMの院長先生を筆頭に、同センターの獣医師の先生方のご厚意により、同センターを訪問・見学する貴重な機会を頂けましたので、弊所職員の教育研修のためにお邪魔致しました。

AdAMとは?
先端医療センターAdAMは、東海地方等の犬や猫の高度・専門獣医療を担う中核動物病院で、国内の先端獣医療、再生獣医療などに取り組んでおられる大きな動物病院です。
動物病院というと、先生が1人だけの身近な町のクリニックを想像しますが、こちらは獣医師の先生だけで10人以上、看護師の方をあわせると20名以上の規模です。
また、診療科もわかれていて、循環器科や神経科、麻酔科など8の診療科があります。今回アテンドして頂いた吉田先生も、日本獣医皮膚科学会の皮膚科認定医でいらっしゃいました。お恥ずかしながら、これまで獣医師の先生にも認定医・専門医制度があると知らず、自分の世間知らずを恥じました。(考えてみればそりゃ、ありますよね)
医療機器・院内施設・手術の見学
AdAMには様々な医療機器があり、人間に使うようなCTやMRI、超音波診断装置もありますが、特筆すべきは動物病院での導入が非常にめずらしい、アンギオシステム(X線を利用した血管造影装置)かと思います。こちらは血管に造影剤を注入しながら、目的の部位にX線を照射することで、血管の様子をリアルタイムに映し出すことができる装置で、これを利用してAdAMでは動注療法(がんカテーテル治療)を実施されています。この治療は国内の動物病院ではまだほとんど行われていないそうです。
動注療法について、詳しくはぜひAdAMの解説ページをご覧ください。
他にも、実際に犬の腫瘍切除を(手術室の隣の部屋等から)見学させて頂くこともできました。執刀されている先生とは別の先生方が、術中に「いま、どうして、何をしているか」を丁寧に説明して下さったので、非医療従事者の私共でも十分に理解を深めることができました。
例えば、「なぜ今回の手術において尿道カテーテル導入が必要なのか」や「なぜ全身麻酔が必要なのか」など、様々な内容を私共にもわかりやすく説明して頂けました。
また、術後も治療や医療機器に関する技術的な細かい質問や、ピットフォールにも丁寧にお答えして頂き、本当に勉強になりました。
(そういえば私と同じ非医療従事者の方にお伺いしたいのですが、"カテーテル"という言葉、"カルーセル"と間違えそうになりませんか?カテーテルという言葉を聞くと毎回、脳内にメリーゴーラウンドを思い浮かべてしまうのは私だけですか?全然関係ない話でごめんなさい。)
左:広い手術室 中:大型犬も対応可能なCT 右:アンギオシステム
小動物専用X線診断装置 照射部位にあわせて照射線量が設定される(鳥にも使用可)
最後に
弊所は安全保障を専門としている関係上、外為法の取り扱いが最も多いのですが、例えばオートクレーブのように動物病院で当たり前に使われているものが、外為法で輸出規制の対象となっていることがあります。しかし、我々非医療従事者は、現物が使用されているシーンを実際に見る機会があまりありません。そのため、今回はどのような医療機器が、現場でどのように使われているか、実際に拝見できるまたとない貴重な機会となりました。
また、今回の訪問見学では手術見学の機会まで頂きありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。
特にご対応を頂いた先生方には、長時間にわたりご指導頂き誠にありがとうございます。弊所の日々の安全保障貿易管理の業務に、明日から役立つお話ばかりでした。院長先生をはじめ先生方、スタッフの皆様に心より御礼申し上げます。