メイガスの製品事故対応とは?
- 某職員
- 9月14日
- 読了時間: 4分
本日は、行政書士法人メイガス国際法務事務所代表の大沢に、弊所の製品事故対応に関する業務について話を聞きました。
職員:製品事故対応って、何が大変なんですか?
大沢:製品事故は単に報告さえすればいいというものではありません。製品の発火・破裂・誤作動など、原因がすぐに特定できない不具合は、単なる製造不良か、それとも設計上の問題か、さらには許認可や製造物責任法(PL法)に関係するようなリスクがあるのか、検討が複雑になりがちです。
また、他士業との連携が必要になることも多いです。例えば、火災や永続的障害などの被害が発生した重大製品事故の場合は、弁護士の関与は実質的に必須となるでしょう。そこまでいかなくても、販売済みの製品を回収して問題ない在庫と無償交換するのか、あるいは回収・交換はせずに返金するのか等、どのようなリコール対応を行うかが、税務面で影響を与えることもあります。
そのような懸念がある場合は、弊所から弁護士や税理士等の関係士業にも相談することをご提案したり、ご要望に応じて適切な士業を紹介することもしております。
なお、弊所が主催する行政書士電気用品安全法勉強会では、税理士の先生にもお越し頂き、リコールによる税務上のリスクについてもご説明を頂いております。
職員:リコールに関する税務はもちろん税理士の仕事で、賠償問題の対応とかサプライヤーへの責任追及も弁護士しかできないと思いますが、行政書士法人として私たちは、製品事故に関して具体的に何をするんですか?
大沢:製品事故が発生した場合、弊所としては、製品安全4法(消安法、電安法、ガス事業法、液石法) をはじめ、関係法規(外為法・電波法・消防法・毒劇法など)に基づき、行政への報告義務が発生するか、回収命令の可能性があるか、許認可取り消しの可能性があるか等を検討します。また、報告義務が発生する場合には報告書類の作成を支援します。
特に輸入製品の場合、「通関は問題なくできるが販売は不可」というケースもあるため、製品の仕様や構造等を把握したうえで、法的な取り扱いを改めて検証します。
販売していた(そして事故が起こってしまった)商品が、法的に問題のない商品だったのか、それとも本来は販売・輸入してはならない商品だったのか、取扱説明書や警告表示は法定記載事項を充足していたか等を判断することは重要ですから。
また、製品事故においては、法務だけでは原因特定に行き詰まることが多いのが現実ですから、弊所ラボや関係機関にて、技術部門の支援を行うこともあります。
例えば、回路の異常発熱や部品破壊の特定では、ロックインサーモグラフィー(発熱解析装置)による回路の故障・異常発熱位置の特定が有効な場合がありますので、ロックインサーモグラフィーを使用させてくれる施設のアレンジや試験の手配等を行うことがあります。そのため、弊所職員は産技研等でロックインサーモグラフィーを用いた発熱解析に関する研修を受講しています。
ロックインサーモグラフィーを用いた異常発熱チップの発見
他にも、事故報告をスムーズに進めるため、事故調査の知見がない役員・責任者の方向けに事故調査の流れやリコールの流れ等についてご説明を行ったり、連携する他士業に対して当該商品の電気用品安全法違反の状況等をレクチャーすることもあります。製品事故を起こした当該製品について、どのような法規制、技術基準、強制規格が関係し、どの規定を満たしていなかったのか等は、連携して製品事故に対応する他士業にとっても重要な情報であることが多いためです。
職員:どんな行政機関とやりとりすることになりますか?
大沢:事故状況、商品の種類、商品の法令対応状況、業態、他の違反の有無等によりますが、例えば経済産業省、総務省、厚生労働省、環境省、消防庁、消費者庁、税関、検疫所などが挙げられます。
様々の官庁や行政執行法人が、それぞれ立入調査や経緯報告書の提出要求、再発防止策の確認を行うことがありますので、対応がチグハグになったり、報告の抜け漏れがないように、行政対応を総合的に支援しています。
職員:大変だった製品事故対応の経験はなんですか?
大沢:守秘義務に反しない範囲でしか説明できませんが、化学事故の際は大変でした。幸いにして重傷者・死亡者はいなかったのですが、肝が冷える出来事ではありました。
大事に至らなかったのも、普段から当該企業様がコンプライアンスを重視され、消防法、安衛法、化審法、毒劇法といった化学関係法令を遵守されてきたからです。
やはり、製品事故対応はとても重要な業務ですが、まずは製品事故の予防に努めたいものであると改めて思わされました。